銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】ゴールデンカムイ

映画日誌’24-07:ゴールデンカムイ

introduction:

明治末期の北海道を舞台に、アイヌ埋蔵金争奪戦の行方を描いた野田サトルの大ヒット漫画を実写映画化したサバイバル・バトルアクション。『HiGH&LOW』シリーズの久保茂昭が監督を務め、北海道、山形、長野、新潟など大自然が残る日本各地で大規模なロケ撮影を敢行。『キングダム』シリーズなどの山﨑賢人が主演を務めるほか、山田杏奈、眞栄田郷敦、矢本悠馬玉木宏舘ひろしら、個性豊かなキャストが大集結した。(2024年 日本)

story:

激動の明治末期。日露戦争での鬼神のごとき戦いぶりから「不死身の杉元」の異名を持つ元軍人・杉元佐一は、ある目的のため大金を手に入れるべく北海道で砂金取りに明け暮れていた。ある日、ある男からアイヌ民族から強奪された莫大な金塊の存在を聞かされた杉元。金塊を奪った「のっぺら坊」という男は、捕まる直前に金塊を隠し、その在処を示す刺青を24人の囚人の身体に彫って彼らを脱獄させたという。そんな折、野生のヒグマの襲撃を受けた杉元をアイヌの少女アシㇼパが救う。彼女は金塊を奪った男に父親を殺されており、その仇を討つため杉元と行動を共にすることに。一方、大日本帝国陸軍第七師団の鶴見篤四郎中尉、戊辰戦争で戦死したとされていた新選組副長の土方歳三もそれぞれ金塊を追っていた。

review:

ゴールデンカムイ、久々にハマった漫画だ。2014年8月から集英社週刊ヤングジャンプ」にて連載が開始され、現在までに既刊全31巻で累計2,700万部(2024年1月時点)突破している、野田サトルによる超大ヒットコミックである。マンガ大賞2016や第22回手塚治虫文化賞マンガ大賞』に選ばれ、作者の野田氏が第73回芸術選奨文部科学大臣新人賞メディア芸術部門を受賞している。長らく「実写化は不可能」と言われていたが、「原作を映像で忠実に表現する」というコンセプトのもと始動した、壮大な実写化計画が実を結んだのが本作だ。

冒険・歴史・文化・狩猟グルメ・GAG&LOVE和風闇鍋ウエスタン、物語が面白いのはもちろん、それまでぼんやりと憧れているだけで何となくしか知らなかったアイヌの文化を少しだけ知ることが出来たし、何より解像度高くアイヌの精神や思想に触れることが出来た。隣人を知ることは大切なことだ。相互理解という意味で、「ゴールデンカムイ」が果たした役割は大きいだろう。アイヌ文化への憧れを一層強くした私は旭川出張の際、何としてもアイヌコタンや博物館に行きたくて予定を捩じ込んだほどだ。

面白すぎて、「アシㇼパ」の発音を練習しながらヤンジャンのアプリで二周した。そんなに好きならコミックス買えよ課金しろよなのであるが、まあそれは置いといて。実写が決まったときは実写するには鈴木亮平が足りないだの、キャストが決まったら決まったで筋肉が足りないだの言っといて、鶴見中尉のビジュアルを見て黙るファンだの、何かと物議を醸してきた「ゴールデンカムイ」の映像化。原作ファンとして様子見していたが、同じ原作ファンにゴリ押しされて劇場に脚を運んでみた。

観た最初の感想は「アシㇼパさんの宣材写真がよろしくなさすぎ」である。先行して公開されたビジュアルではアシㇼパさんのイメージではなかったので観に行くのを躊躇ってしまったという側面もある。蓋を開けてみると映像で見るほうがずっと魅力的だった。杉元は確かに杉元だったしキャラクターの再現度も高く、すべて原作通りというわけではないと思うが「ゴールデンカムイ」の世界観を忠実に構築しており、原作のファンが絶賛するのも頷ける。そこで終わるんかい!ってみんな思ったよね。次回作が楽しみよね。

trailer: