銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】ショーシャンクの空に 4Kデジタルリマスター版

映画日誌’22-22:ショーシャンクの空に 4Kデジタルリマスター版
 

introduction:

スティーブン・キングの短編小説「刑務所のリタ・ヘイワース」を、ティム・ロビンスモーガン・フリーマンの主演で映画化した人間ドラマ。冤罪で収監された元銀行副頭取アンディが、長年服役している囚人レッドと友情を育みながら、腐敗しきった刑務所の中でも希望を捨てずに生き抜こうとする姿を映し出す。『エルム街の悪夢3/惨劇の館』などの脚本家フランク・ダラボンの長編監督デビュー作。1994年度のアカデミー賞では作品賞を含む7部門にノミネートされ、現在まで映画史に残る名作として絶大な支持を得ている。2022年に4Kデジタルリマスター版が公開された。(1994年 アメリカ)
 

story:

若き銀行の副頭取だったアンディ・デュフレーンは、妻とその愛人を殺害した罪でショーシャンク刑務所に収監される。始めは刑務所のしきたりに戸惑い孤立していた彼だったが、刑務所内の古株で“調達係”のレッドと親交を深めていく。そして入所2年目、看守のハドレー主任が抱えていた遺産相続問題を解決する報酬として受刑者仲間へのビールを獲得すると、アンディは刑務所内で一目置かれるようになっていく。そして20年の歳月が流れたある日、彼は冤罪を晴らす重要な証拠をつかむが...。
 

review:

21世紀初頭、好きな映画を聞かれると『ショーシャンクの空に』を挙げる男子のなんと多かったことよ・・・。言わずと知れた映画史にのこる不朽の名作であるが、公開当時は全くヒットせず興行的には大失敗だったという。同時期に『パルプ・フィクション』や『フォレスト・ガンプ』など強力な競合作が公開されていたこともあり、興行収入は2500万ドルを下回る1,600万ドル。作品賞、主演男優賞、脚色賞、撮影賞、作曲賞、編集賞、録音賞の7部門にノミネートされた1995年のアカデミー賞も無冠だった。
 
しかしアカデミー賞にノミネートされたことで注目され、再公開や海外収益で挽回。全米で32万本以上のレンタルビデオが出荷され、1995年に最もレンタルされた映画作品となった。また、放送権を獲得したターナー・ネットワーク・テレビジョンで定期的に放映されるようになると、その人気を不動のものとした。2015年、アメリカ議会図書館によって「文化的、歴史的、芸術的に重要な映画」としてアメリカ国立フィルム登録簿に保存されることが決定したそうだ。
 
というわけで、4Kでスクリーンに蘇った名作『ショーシャンクの空に』を観に行った。レンタルでしか観たことがなかったのだが、あれこんなもんだったっけというのが正直な感想。近年4Kリバイバルした名作といえば『エレファント・マン』や『ダンサー・イン・ザ・ダーク』があるが、それらには心をえぐられたし、改めて出会い直した感動があった。ところがショーシャンクにはそれが無かったのだ。あらかじめ結末を知っているのでカタルシスがない、というのも理由のひとつだろう。
 
先に述べた通り、本作は公開当時ヒットしなかった。最初が小規模公開でも、面白ければ口コミで広がり、ヒットする時はする。劇場のスクリーンでヒットしなかった理由は、物語のスケール感と比較して相対的に感じる、ほんのちょっとの物足りなさなのではないかと思ったりする。とは言え丁寧につくられた上質なドラマなので、テレビで観たらそりゃ面白かろう。いや実際面白いのは間違いないんだが。主演のティム・ロビンスモーガン・フリーマンの演技は素晴らしいし。
 
監督のフランク・ダラボンはその後、同じくスティーヴン・キング原作の『グリーンマイル』で大成功し、2007年の『ミスト』はトラウマ鬱映画として映画史にその名を刻む。彼は脚本や制作を務めることのほうが多く、長編映画の監督としては寡作だが、才能ある映画人の一人であろう。また『ミスト』みたいな胸糞映画撮ってくれたら、きっと観る。
 

trailer: