銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】アナザーラウンド

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映画日誌’21-34:アナザーラウンド
 

introduction:

デンマークを代表する名優マッツ・ミケルセンが、アカデミー外国語映画賞にノミネートされた『偽りなき者』のトマス・ビンターベア監督と再びタッグを組んだ人間ドラマ『偽りなき者』に出演したトマス・ボー・ラーセン、ラース・ランゼ、『ヴェラの祈り』などのマリア・ボネヴィーらが共演。第73回カンヌ国際映画祭のオフィシャルセレクションに選出されたほか、第78回ゴールデングローブ賞の最優秀外国語映画賞にノミネート、第93回アカデミー賞で国際長編映画賞を受賞した。(2020年 デンマーク,スウェーデン,オランダ)

story:

冴えない高校教師のマーティンと3人の同僚は、ノルウェー人の哲学者が提唱した「血中アルコール濃度を一定に保つと仕事の効率が良くなり想像力がみなぎる」という理論を証明するため、仕事中に酒を飲み、常に酔った状態を保つというとんでもない実験に取り組む。すると、これまで惰性でやっつけていた授業も楽しくなり、生徒たちとの関係も良好に。仲間たちの人生も良い方向に向かい始めたが、実験が進むにつれ次第に制御不能になり...
 

review:

思ってたのと違った。思ってたのと全然違った。マッツ・ミケルセン主演のアカデミー賞作品というだけで観に行ってしまい、『ハングオーバー!』的な酔っ払いコメディかと勝手に思っていたら、違ったねぇ・・・。よく見たら、監督は『偽りなき者』のトマス・ヴィンターベアだもんねぇ・・・。そりゃ、割とシリアスな人間ドラマだよねぇ・・・。
 
「血中アルコール濃度を常に0.05%に保つことで、自信とやる気がみなぎり人生が上向きになるか?」という実験に挑む、うだつの上がらない教師4人組。もともとダメ要素を持ち合わせている皆さんが現実逃避しているだけなので、実に危なっかしい。ヒヤヒヤさせられるんだけど、なんだかモヤモヤする。
 
驚くべきことに、デンマークの法律に飲酒に関する年齢制限はないそうだ。アルコール度数16.5%以下の酒類なら16歳から店頭で購入できるため、比較的若い頃からアルコール漬け。作中でも教師が生徒に飲酒について質問したりする。デンマークの文化風習と言う点では興味深さもあったが、反面、前提が共有されていないので理解しづらい部分もあり、どうにも世界に入り込めない。
 
物語の展開も予想の範疇を超えないが、どうしてそれがそうなるのか腑に落ちない。その上どうにもテンポが合わず、ひとつひとつの場面が冗長に感じる。そう言う訳で、ところどころに素敵なシーンはあったけれど、いまいち映画として心から楽しめず。ただ、マッツが舞うラストシーンはよかったよ。さすが元ダンサー。え、ボリウッド!?という疑問は置いといて、マッツのファンには強力におすすめする。
 

trailer: