銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】ザ・ロストシティ

映画日誌’22-23:ザ・ロストシティ
 

introduction:

ゼロ・グラビティ』『オーシャンズ8』などのサンドラ・ブロックが主演とプロデュースを務めるアクションアドベンチャー。新作の宣伝ツアー中に南の島へ連れ去られた女性小説家が、彼女を助けに来た表紙モデルとジャングルで大冒険を繰り広げる。『マジック・マイク』シリーズなどのチャニング・テイタム、『ハリー・ポッター』シリーズや『スイス・アーミー・マン』などのダニエル・ラドクリフブラッド・ピットらが共演する。『トム・ソーヤーの盗賊団』などのアーロン&アダム・ニー兄弟が監督を勤めた。(2022年 アメリカ)
 

story:

新作の宣伝ツアーにいやいやながら駆り出された、人生に後ろ向きな恋愛小説家ロレッタ。そこでは、彼女の作品の主人公「ダッシュ」を演じるセクシーカバーモデル、アランの薄っぺらな態度が鼻につきイライラが絶頂に。そんなロレッタの前に謎の億万長者フェアファックスが現れ、突然南の島へと連れ去られてしまう。彼はロレッタの小説を読み、彼女が伝説の古代都市「ロストシティ」の場所を知っていると考えていた。一方、ロレッタの誘拐を知ったアランは、彼女を救出すべく南の島へと急行するが...。
 

review:

サンドラ・ブロックチャニング・テイタムブラッド・ピットハリー・ポッター。このメンツで駄作の匂いしかしないの最高すぎると思って観に行った。期待を裏切らない駄作であった(褒めてる)。制作に関わったサンドラ・ブロックがこのご時世で塞ぎがちな人々の気持ちが明るくなるようにと語っていたらしいが、気が滅入るニュースが続く今日この頃、人々は何も考えずに楽しめる娯楽映画を欲している。たぶん。
 
女性作家が伝説の宝石をめぐる争いに巻き込まれ、自身が書く冒険ロマンス小説ばりに男とジャングルで宝探しする羽目になるという筋書きは、1980年代に大ヒットした『ロマンシング・ストーン 秘宝の谷』とほぼ同じである。ゼメキス監督が撮った『ロマンシング・ストーン』は古典期ハリウッドの冒険ロマンス映画復興の試みだったと言うので、本作もある意味ハリウッド映画の王道であろう。
 
主演のサンドラ・ブロックといえば、令和天皇が若かりし日に憧れたハリウッド女優である。後ろ向きな恋愛小説家ロレッタを演じ、キラッキラのジャンプスーツでジャングルを駆け抜ける。そりゃ目立つし見つかるわなんだけど、庇護される対象ではなく男性と対等な関係で冒険をリードしていくヒロインは、現代のジェンダー観を映し出しており好感が持てる。
 
そして、無駄にマッチョだけどポンコツで役に立たないセクシーカバーモデルのアランを演じたチャニング・テイタム。愛する女性をサポートしようと懸命にがんばる姿が健気で心打たれる。自分の在り方を見つめ直し、だんだん漢(おとこ)の顔つきになっていくところがよいし、2人の関係の落としどころも爽やかでよい。謎の実業家フェアファックを演じたハリー・ポッターなど、それぞれのキャラクターが立っていて魅力的だった。
 
何よりブラピの使い方よ・・・。強力なハンサム助っ人ジャック・トレーナー、キアヌ・リーヴスも候補だったらしい。それはそれで観たかった気がする。ブラピ率いるPLAN Bが『ロスト・シティZ 失われた黄金都市』という真面目な映画を制作しているが、タイトルかぶりはただの偶然じゃないだろうよ。本当のところを言うと、もっとくだらないB級映画を期待していたのでやや物足りなさもあったが、たまにはこんな風に気負わず楽しめる映画もいい。
 

trailer: