銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】ゲット・アウト

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劇場で観た映画を適当に紹介するシリーズ’17-65
『ゲット・アウト』(2017年 アメリカ)
 

うんちく

パラノーマル・アクティビティ』シリーズや『ザ・ギフト』『ヴィジット』などを手掛けて来たジェイソン・ブラムが製作し、アメリカのお笑いコンビ”キー&ピール”のジョーダン・ピールが初監督と脚本を務めたスリラー。主演は『Chatroom/チャットルーム』などのダニエル・カルーヤ、ドラマシリーズ「GIRLS/ガールズ」などのアリソン・ウィリアムズ。低予算ながら全米2781館で公開され、週末興行収入ランキング初登場一位となった。
 

あらすじ

ニューヨークに暮らしているアフリカ系アメリカ人の写真家クリスは、ある週末、恋人である白人女性ローズの実家に招かれる。不安と裏腹に過剰な歓迎を受けるが、黒人の使用人がいることに違和感を覚えるとともに、彼らの不審な行動に動揺するクリス。翌日、亡くなったローズの祖父を讃えるパーティーに出席するが、出席者はなぜか白人ばかりで気が滅入ってしまう。そんななか、黒人の若者を見つけたクリスは、古風な格好をした彼に思わずカメラを向ける。しかしフラッシュがたかれた瞬間、彼は鼻から血を流しながら態度を豹変させ、「出て行け!」とクリスに詰め寄る。“何かがおかしい”と感じたクリスは、ローズと一緒に実家から出ようするが…..
 

かんそう

なるほど、そういうことか!って膝を打つスリラー(なんだそりゃ)。これはレイシズムを皮肉めいて風刺した、壮大なブラックジョークであり、喜劇のようでもある。伏線とも言える演出や、役者の芝居が絶妙で面白い。醸し出される違和感と薄気味の悪さに、じわじわと得体の知れない恐怖が湧き上がってくる。あんな風に闇に沈められたらたまらんなぁと、その生き地獄に戦慄を覚えるが、結末にもう一捻り出来たんじゃないかって少々物足りなさを感じた。と思ったら、エンディングは当初予定されていたものから、世相などを鑑みて急遽変更されたものだそうだ。予定取りのエンディングであれば、世界に強烈なインパクトを与えただろうし、作品の重厚感も変わってきただろう。ただ、このエンディングだからこそエンターテイメントとして楽しめたのだと思われる。どちらが良かったのかは、分からない。
 

【映画】ブレードランナー 2049

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劇場で観た映画を適当に紹介するシリーズ’17-64
ブレードランナー 2049』(2017年 アメリカ)
 

うんちく

1982年、フィリップ・K・ディック著の『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』をリドリー・スコットが映像化し、SF映画の金字塔となった『ブレードランナー』から35年の時を経て生み出された続編。今作では『灼熱の魂』『複製された男』『メッセージ』などで知られるドゥニ・ヴィルヌーヴ監督がメガホンを取り、リドリー・スコットは製作総指揮を務めた。前作で主人公デッカードを演じたハリソン・フォードが同役で出演し、『ラースと、その彼女』『ラ・ラ・ランド』などのライアン・ゴスリングと新旧のブレードランナーを熱演する。
 

あらすじ

人間と見分けのつかない「レプリカント」が労働力として製造されていた2019年、LA市警の元捜査官デッカードが女性レプリカントと共に忽然と姿を消した。その後、2022年にアメリカ西海岸で大規模な停電が起きたのをきっかけに世界は食物供給が混乱するなど危機的状況を迎える。2025年、科学者ウォレスが遺伝子組み換え食品を開発し、人類の危機を救う。そして、デッカードが消息を経ってから30年の月日が流れた2049年。さらに荒廃が進んだカリフォルニアで、最新型レプリカントの”K”はブレードランナーとして旧型レプリカントの「解任(殺害)」の職務に就いていた。
 

かんそう

レプリカント」という言葉を生み、シド・ミードの手によって”退廃した未来都市”のイメージを創造し、その後のSF映画に甚大なる影響を及ぼした、エポック・メイキングな傑作である。当時とそれ以降、好きな映画と聞かれたらとりあえず『ブレードランナー』って答えるサブカル男子がいっぱいいた。あれから30年。噂では、2049が公開されるやいなや、30年越しのサブカル男子が大挙して押し寄せ、男泣きに泣いていたらしい。要するに、おっさんホイホイである。うっかり主観を交えた感想なんて書こうものなら市中引き回しの刑にでも遭いそうな気がするので、時折ぞっとするほど美しい構図にドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の作家性を見た、とだけ書いておこう。『ブレードランナー』は、30年の時を超えてなお、『ブレードランナー』として素晴らしかった。んで、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品が大好きな(?)ばかうけが出てきた。今回は黒くて小さかった。
 

【映画】アトミック・ブロンド 

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劇場で観た映画を適当に紹介するシリーズ’17-63
アトミック・ブロンド』(2017年 アメリカ)
 

うんちく

『モンスター』でアカデミー賞主演女優賞を獲得したシャーリーズ・セロンを主演に迎え、アントニー・ジョンストン、サム・ハートが2012年に発表したグラフィックノベルを実写化。スタント・コーディネーターとして数多くのハリウッド大作に携わった実績を持ち、『ジョン・ウィック』の製作、共同監督を務めたことで脚光を浴びた注目の才能デヴィッド・リーチが監督を務めた。共演は『X-MEN』シリーズや『フィルス』などのジェームズ・マカヴォイのほか、ジョン・グッドマンエディ・マーサンら実力派が脇を固める。

あらすじ

1989年、東西冷戦末期のベルリン。イギリス秘密情報部MI6の捜査官が殺され、最高機密情報が記載されたリストが奪われた。リストの奪還を命ぜられた凄腕の女性諜報員ロレーン・ブロートンは、遺体回収の名目でドイツに入国し、ベルリンに潜入中の諜報員デヴィット・パーシヴァルと合流する。しかし彼女を待ち構えていたのは、リストを狙いベルリンに集結した世界各国のスパイだった。そして彼女には、リスト紛失に関与したMI6内の二重スパイ、”サッチェル”を見つけ出すというもう一つの任務があり…..
 

かんそう

いろんな意味でマッチョなシャーリーズ姉さんを堪能する映画である。彼女には有無を言わせない「人間として」の美しさがある。そんなシャーリーズ演じるロレーンが満身創痍の肉体美を見せつけ、顛末を報告させられるところから物語りが始まる。その時間軸を行き来する構成によって緩急がつき、中弛みすることなく楽しめる。アクション演出のスペシャリストとしてハリウッドの寵児だったデヴィッド・リーチ監督の手腕が発揮され、大立ち回りやカーアクションがやたらと派手なので暴力的な描写に面食らいつつも面白い。ロレーンがビルの階段を移動しながら複数の殺し屋との大乱闘を繰り広げる7分半の驚異的なワンカットは見事。ただ、おおそういうことなのねっていう結末を迎えるんだけど、そこに収束していく伏線があまり無いのでカタルシス感のようなものがあまり得られない。それで少々奥行きが足りないと感じてしまうが、1980年代東西ベルリンの世相やカルチャーが垣間見れるだけでなく、世界が変わった瞬間、あの大きなうねりを体感できる。そして、David BowieGeorge Michaelといった80年代を彩ったサウンド、スタイリッシュなファッションが痺れるほど素敵なのだ。それにしてもジェームズ・マカヴォイがね、いいよねぇ・・・
 

【映画】女神の見えざる手

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劇場で観た映画を適当に紹介するシリーズ’17-62
女神の見えざる手』(2016年 フランス,アメリカ)

うんちく

戦略を駆使して政治家の心や世論を動かし、マスコミを操作し、世界を変える決断に深く関与するプロフェッショナル集団「ロビイスト」を描いた社会派サスペンス。監督は『恋におちたシェイクスピア』のジョン・マッデン。『ゼロ・ダーク・サーティ』のジェシカ・チャステインが主演を務め、ゴールデン・グローブ賞主演女優賞にノミネートされた。『キングスマン』のマーク・ストロング、『インターステラ―』のジョン・リスゴーらが共演。なお本作の脚本は、イギリスの弁護士だったジョナサン・ペレラの処女作。初めて描いた脚本が映画化されるという、ハリウッドでは前代未聞のサクセス・ストーリーが背景にある。

あらすじ

ワシントンD.C.にある最大手ロビー会社コール=クラヴィッツ&Wの敏腕ロビイストとして活躍しているエリザベス・スローン。勝つためには手段を選ばず、一切の妥協を許さない仕事ぶりはクライアントから高く評価され、政府やメディアからも一目置かれる存在である。ある日彼女は、銃規制法案を廃案に持ち込みたい銃擁護派団体から依頼を受けるが、自分の主義に合わないと一蹴し、銃規制法案の成立に尽力する小さなロビー会社に移籍。大胆な戦略によって形勢を有利に変えていくが、巨大な権力をもつ銃擁護派団体や、いまや敵となった前職の圧力により、彼女の過去のスキャンダルが暴かれてしまう。さらに思いも寄らぬ事件が起こり、事態は予測できない方向へと転がり始め…..

かんそう

面白い。唸るほど面白い。幾重にも仕掛けられた罠が、緻密な脚本と構成によって描かれ、スリリングな展開に一瞬たりとも気が抜けない。最高潮に達した緊張感で迎える怒涛のクライマックスは、全身の毛穴が開くほどの爽快感。張り巡らされた伏線もきっちり回収してくれて、その演出も見事である。頭脳明晰、目的のためなら手段を選ばず、使えるものは何でも使う。サイコパス気質を匂わせながら、たまに人間臭い一面を覗かせるスローン女史のパーソナリティと、その成り立ちにも興味をそそられるのだが、多くは語られない。何が彼女を駆り立てるのか、彼女自身の真実がどこにあるのか、最後までハッキリと明かされない。ミステリーのようだ。プライベートな時間は皆無で、家庭も持たず、薬を多用しながら睡眠時間すらコントロールして1日に16時間仕事しているスローン女史。プロフェッショナルに徹することの凄みを見せつけられるとともに、そうかやっぱり、世の中を動かすにはそのくらい仕事しないとダメなのかと真面目に受け止めてしまうワーカーホリック予備群であった。年収100万ドル(予測)のスローン女史を際立たせるファッションやメイクも魅力的。
 

【映画】アナベル 死霊人形の誕生

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劇場で観た映画を適当に紹介するシリーズ’17-61
アナベル 死霊人形の誕生』(2017年 アメリカ)
 

うんちく

全世界興行収入がシリーズ累計1000 億円以上の大ヒットを記録し、現代ホラーの新定番となった『死霊館』シリーズ。2013年に公開された第1作目の『死霊館』に登場し、全世界を恐怖に陥れた実在する呪いの人形「アナベル」の起源に迫るスピンオフ第2弾。前作に続き、『死霊館』シリーズの生みの親であり、『ソウ』『ワイルド・スピード SKY MISSION』などで知られるジェームズ・ワンが製作を担当している。監督は『ライト/オフ』でもジェームズ・ワンとタッグを組んだデイビッド・F・サンドバーグ。『007 スペクター』などのステファニー・シグマン、『ヴェンジェンス』などのタリタ・ベイトマン、『ウィジャビギニング ~呪い襲い殺す~』などのルル・ウィルソンらが出演している。
 

あらすじ

12年前に幼い愛娘をなくした人形師とその妻が暮らす屋敷に、孤児院を閉鎖されて行き場を失ったシスターと6人の少女たちがやってくる。新生活に浮き足立つ彼女たちだったが、家の中は不気味が雰囲気が漂っていた。脚が不自由なジャニスは、その気配を敏感に感じて怯えていたが、ある晩、鍵が掛かっているはずのドアが開いていることに気付く。言いつけを破って中に入ると、そこには白いドレスを着た人形「アナベル」がいた。それからと言うもの、次々に怪現象に襲われ…..
 

かんそう

洋ホラーが好きだ。ジェームズ・ワン作品が好きだ。ウォーレン夫妻大活躍の死霊館シリーズはスピンオフまで完全網羅している。という訳で、公開されると同時に喜び勇んで観に行った。その日の英会話教室でウィリアム先生に予定を聞かれて”I’m going to the theater to watch a horror movie.”と答えたら"Horror movies? by yourself?? オゥ…(憐みの声)”と驚かれたが、そんなことはどうでもいい。史上最恐との呼び声高い、実在する呪いの人形「アナベル」誕生秘話である。が、エピソードは創作だろう。ジェームズ・ワン節とも言える、じわじわと不穏なムードを盛り上げていく極めてオーソドックスな「はい、怖がらせますよー」の儀式がもはや美しい。ホラー映画における様式美である。最恐悪魔映画『エミリー・ローズ』ほどではないが期待通りに怖かった。だって「怖がらせますよー」って焦らされる分、ああん、って身の毛がよだつ。ジェームズ・ワンの思惑通りである。ただ哀しいかな、劇場内にそこ笑っちゃだめってところで笑い声をあげるグループ客がいたお陰で、随分と冷静に観た。陽気なアメリカンめ・・・。
 

【映画】愛を綴る女

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劇場で観た映画を適当に紹介するシリーズ’17-60
愛を綴る女』(2016年 フランス,ベルギー)
 

うんちく

『愛と哀しみのボレロ』など女優としても知られるニコール・ガルシア監督が、ミレーナ・アグスのベストセラー恋愛小説「祖母の手帖」を映画化。『エディット・ピアフ~愛の讃歌』『たかが世界の終わり』などのマリオン・コティヤールを主演に迎え、ある女性がたどる、17年に渡る愛の軌跡を描く。『ローマ法王になる日まで』などのアレックス・ブレンデミュール、『サンローラン』などのルイ・ガレルが共演。カンヌ国際映画祭セザール賞において、主演女優賞、監督賞などに多数ノミネートされた。
 

あらすじ

フランス南部の小さな村に暮らす、若く美しいガブリエル。最愛の男性との理想の結婚を夢見ながらも、地元の教師との一方的な恋に破れ、不本意ながら両親の決めたスペイン人労働者ジョゼと結婚生活を始める。正直者で情の深いジョゼはガブリエルに献身的に接するが、彼女は彼を絶対に愛さないと心に誓っていた。そんな折、流産の原因が結石と診断されたガブリエルは、アルプスの山麓の療養所に滞在することになる。そこでインドシナ戦争で負傷した帰還兵のアンドレと運命的な出会いを果たし…..
 

かんそう

この狂気を孕んだ愛の物語を、押し込められた閉塞感のなかで大胆に奔放に、どこまでも美しく、神秘的かつ官能的に演じきったマリオン・コティヤールの素晴らしさは筆舌に尽くし難い。この傑作を産んだのはやはり、「このヒロイン役にはマリオンしかいない」と直感し、彼女のスケジュールが空くまで5年間待ち続けたガルシア監督の拘りと執念だろう。時間を行き来しながらそれぞれの視点で描かれる、溢れんばかりの情熱と官能、激しく切ない愛の息遣いが苦しい。彼らの思い出を彩るチャイコフスキー<四季>の”舟歌”、繊細で美しい音楽たちが感動を増幅させる。ラベンダー畑が広がる南仏プロヴァンズの風景、美しい海辺の家、そしてジョゼの故郷スペインの絶景に魅了される。フランコ政権下でレジスタンスに身を投じた過去を持つ、寡黙で骨太な夫ジョゼを演じたアレックス・ブレンデミュールも素晴らしかった。彼らが辿った17年もの歳月が、愛とは、という疑問符とともにずっしりと重く心に残る。それでいて温かく優しい気持ちになる、素晴らしい作品であった。
 

【映画】ドリーム

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劇場で観た映画を適当に紹介するシリーズ’17-59
『ドリーム』(2016年 アメリカ)
 

うんちく

1960年代初頭、アメリカが大国の威信をかけて推進していた有人宇宙飛行を目指す“マーキュリー計画”において、キャサリン・G・ジョンソン、ドロシー・ヴォーン、メアリー・ジャクソンという実在の黒人女性数学者たちが多大な貢献を成し遂げた史実を描き出す。主演は『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』などのタラジ・P・ヘンソン、『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』などのオクタヴィア・スペンサー、『ムーンライト』などのジャネール・モネイケビン・コスナーマハーシャラ・アリキルスティン・ダンストらが脇を固める。『ヴィンセントが教えてくれたこと』などのセオドア・メルフィが監督を務め、ファレル・ウィリアムスが製作と音楽を担当した。公開後、全米興収チャート1位に輝き、11週連続トップテン入りのロングラン・ヒットを達成。アカデミー賞では作品賞、脚色賞、助演女優賞の3部門ノミネートされた。
 

あらすじ

東西冷戦下、アメリカとソ連が熾烈な宇宙開発競争を繰り広げている1961年。ヴァージニア州ハンプトンのNASAラングレー研究所には、ロケットの打ち上げに必要不可欠な計算や解析に取り組む、優秀な頭脳を持つ黒人女性たちのグループがあった。そのうちのひとり、キャサリンは数学の天才的な実力を認められ、黒人女性として初めて宇宙特別研究本部に配属されるが、白人男性しかいない職場で冷遇される。同僚のドロシーとメアリーも、それぞれ理不尽な理由でキャリアアップを阻まれていた。それでも3人は、仕事と家庭を両立させながらひたむきに夢を追い続け、やがて国家の威信をかけたNASAの歴史的な偉業に携わっていく。
 

かんそう

残念な邦題とサブタイトルで炎上するという残念な理由で、公開前に認知度がうなぎのぼりだった本作。マーキュリー計画なのにアポロ計画とは、作り手にも観客にも極めて失礼だ。原題は"Hidden figures”「隠された人物」、”Figures”が持つ「数字」「人物」という2つの意味をかけたものである。それが『ドリーム』とはこれいかにと思いつつ公開を楽しみに待ち、そしてついに観た。素直に感動した。東西冷戦下、アフリカ系アメリカ人公民権運動全盛期の1960年代。人種分離政策がまかり通り、有色人種への根強い差別が当たり前にあった世相の描写も鮮明である。加えて女性であることが今よりもずっとハンディキャップであった不遇の時代にあって、逆境に屈せず、誇り高く、力強く運命を切り開いていく彼女たちの姿はエキサイティングで痛快。そしてその上、共に描かれる家族愛、友情、ロマンスにいちいち泣かされるのだ。テンポ良く、ドラマチックに展開していくストーリーと演出構成が秀逸で、ひとつひとつのセリフが精彩を放つ脚本も素晴らしい。非常によく出来たエンターテイメント作品であり、観る者の胸を打つ清々しい感動作であった。