銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】アトミック・ブロンド 

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劇場で観た映画を適当に紹介するシリーズ’17-63
アトミック・ブロンド』(2017年 アメリカ)
 

うんちく

『モンスター』でアカデミー賞主演女優賞を獲得したシャーリーズ・セロンを主演に迎え、アントニー・ジョンストン、サム・ハートが2012年に発表したグラフィックノベルを実写化。スタント・コーディネーターとして数多くのハリウッド大作に携わった実績を持ち、『ジョン・ウィック』の製作、共同監督を務めたことで脚光を浴びた注目の才能デヴィッド・リーチが監督を務めた。共演は『X-MEN』シリーズや『フィルス』などのジェームズ・マカヴォイのほか、ジョン・グッドマンエディ・マーサンら実力派が脇を固める。

あらすじ

1989年、東西冷戦末期のベルリン。イギリス秘密情報部MI6の捜査官が殺され、最高機密情報が記載されたリストが奪われた。リストの奪還を命ぜられた凄腕の女性諜報員ロレーン・ブロートンは、遺体回収の名目でドイツに入国し、ベルリンに潜入中の諜報員デヴィット・パーシヴァルと合流する。しかし彼女を待ち構えていたのは、リストを狙いベルリンに集結した世界各国のスパイだった。そして彼女には、リスト紛失に関与したMI6内の二重スパイ、”サッチェル”を見つけ出すというもう一つの任務があり…..
 

かんそう

いろんな意味でマッチョなシャーリーズ姉さんを堪能する映画である。彼女には有無を言わせない「人間として」の美しさがある。そんなシャーリーズ演じるロレーンが満身創痍の肉体美を見せつけ、顛末を報告させられるところから物語りが始まる。その時間軸を行き来する構成によって緩急がつき、中弛みすることなく楽しめる。アクション演出のスペシャリストとしてハリウッドの寵児だったデヴィッド・リーチ監督の手腕が発揮され、大立ち回りやカーアクションがやたらと派手なので暴力的な描写に面食らいつつも面白い。ロレーンがビルの階段を移動しながら複数の殺し屋との大乱闘を繰り広げる7分半の驚異的なワンカットは見事。ただ、おおそういうことなのねっていう結末を迎えるんだけど、そこに収束していく伏線があまり無いのでカタルシス感のようなものがあまり得られない。それで少々奥行きが足りないと感じてしまうが、1980年代東西ベルリンの世相やカルチャーが垣間見れるだけでなく、世界が変わった瞬間、あの大きなうねりを体感できる。そして、David BowieGeorge Michaelといった80年代を彩ったサウンド、スタイリッシュなファッションが痺れるほど素敵なのだ。それにしてもジェームズ・マカヴォイがね、いいよねぇ・・・