銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】コカイン・ベア

映画日誌’23-43:コカイン・ベア

 

introduction:

実在の事件に着想を得て、コカインを食べて凶暴化したクマと遭遇した人々の顛末を描いたパニックアドベンチャー。『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』のフィル・ロードクリストファー・ミラーが製作に参加し、監督は『チャーリーズ・エンジェル』『ピッチ・パーフェクト2』のエリザベス・バンクス。『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』のオールデン・エアエンライク、『ストレイト・アウタ・コンプトン』のオシェア・ジャクソン・Jr、2022年に急逝した『グッドフェローズ」』などのレイ・リオッタなど、個性的なキャストが集う。(2023年 アメリカ)

 

story:

1985年、アメリカ。運び屋アンドリュー・カーター・ソーントン2世は雇い主である麻薬王シドの命令どおり、セスナ機に積んだ大量のコカインをジョージア州の森に投下するが、自分自身も誤って落下し命を落としてしまう。シドは最も信頼するフィクサーダヴィードに行方不明になってしまったコカインの回収を命じるが、引退間近の刑事ボブもシドとの長年に渡る因縁に決着をつけるべく現場に向かう。一方、絵を描くことが大好きな13歳のディーディーは友だちと学校をサボって森へ出かけ、コカインを食べて凶暴になったクマと遭遇してしまう。麻薬王一味、子どもたちと母親、警察、レンジャー、不良少年たち。それぞれの思惑が絡み合い、事態はどんどん複雑になっていくが…

 

review:

1985年9月11日の朝。麻薬密輸人のアンドリュー・カーター・ソーントン2世がFBIに追われ、セスナ機からコカインが入ったバッグを投げ捨てた。しかし、こともあろうに体重80kgの巨大なクマが、その白い粉を食べてしまった——というのは実話だそうだ。だが実際には凶暴化して人を襲うどころか、致死量のコカインを摂取したことで死亡している。なお、モデルとなったクマさんは剥製となり、ケンタッキー州レキシントンのショッピングモールで来場客をお迎えしているとのこと。

ちなみにこのアメリカクロクマは比較的温和な性格で大人しく、愛らしい顔立ちをしており「クマのプーさん」や「テディベア」のモデルにもなっている。映画の冒頭に出てくる登山カップルが「黒い熊は温厚、茶色いクマは獰猛。だから大丈夫」的なことを言って早速襲われるのだが、このカップルの名前が「オラフ」と「エルサ」なのがまず反則である(※コカインの隠語は「スノー」)。そんなん、笑うしかないやろがい。開始数分でクマに襲われて人が死ぬのに悲壮感ゼロ。

そして、麻薬王に依頼されてコカインを探しにきたフィクサー麻薬王の息子、麻薬王を長年追い続けている引退間近の刑事、学校をサボって森にきた子どもたちとそれを探しにきたシングルマザー、森林警備隊員と野生動物管理官、ならず者気取りの不良少年たちが、続々とコカインでガンギマリのクマが大暴れしている現場にやってくる。登場人物が全員クセつよ。ていうか、全員アホ。それぞれの背景がそれなりに描かれるのでキャラクターが立っており、彼らの運命が重なり合っていく人間ドラマがちゃんとあったりする。

ていうかクマ無双すぎて人がすぐ死んじゃうし、ゴア描写が多めで何なら節操がない。でもなぜか悲壮感ゼロ。バカバカしいんだけどいちいち芸が細かくて、不謹慎なんだけど笑っちゃう。声出して笑っちゃうに決まってるわこんなの。観なくても人生に一ミリも影響はないが、こんなクッソくだらない映画を笑い飛ばして楽しめる人生でありたい。クッソくだらない映画であることは、冒頭でクマの生態をもっともらしく語っておいて「出典 ウィキべディア」の時点で察するべきである。「WIR●D」のライターがカッコつけた文章で駄作ってコキおろしてたけどうるせーよ。笑

 

trailer: