銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】シアターキャンプ

映画日誌’23-44:シアターキャンプ

introduction:

経営不振の演劇スクール存続のため、わずか3週間で新作ミュージカルに挑むことになった人々のドタバタをモキュメンタリータッチで描いたコメディドラマ。『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』などのモリー・ゴードンがニック・リーバーマンと共同監督と主演を務め、『ディア・エヴァン・ハンセン』などのベン・プラット、『ブックスマート』のノア・ガルヴィンらが共演する。2023年サンダンス映画祭でUSドラマチック審査員特別アンサンブルキャスト賞を受賞。(2022年 アメリカ)

story:

ニューヨーク州北部の湖畔にある演劇スクール「アディロンド・アクト」は、ミュージカルスターを夢見る子どもたちを長年にわたり指導してきた。しかし、夏のキャンプ開校を目前にして校長が昏睡状態に陥ってしまう。演劇に無関心な息子トロイが跡を継ぐが、経営状況が破綻寸前であることが発覚。しかもスクール存続のためには、3週間後のキャンプ終了までに出資者の前で新作ミュージカルを披露しなければならない。変人揃いの教師と子どもたちは、期限までに舞台を完成させることはできるのか…?

review:

アメリカにはサマーキャンプの文化がある。3ヶ月というアメリカの長い長〜い夏休み、親としては子どもにずっと家におられたらたまらんわけで、日中のみのデイキャンプや、2〜3週間のオーバーナイトキャンプに子どもを放り込む。内容は自然体験系のものからSTEAM、アート、演劇、スポーツなど多種多様。家族と離れて他の子どもたちと共同生活を営み、さまざまなアクティビティや社会活動などの経験を通して、協調性やら人間性やら社会性を育む機会として親しまれているそうだ。

そして本作の舞台は3週間のシアターキャンプ。開校直前で昏睡状態になってしまった校長に代わり、演劇ド素人の息子(自称ビジネスマン)がやってくるも、内情は火の車で経営破綻寸前。存続のため、出資者に披露する新作ミュージカルを3週間で完成させなければいけないけど、教師も子どもも変人揃いだし問題山積みでどうすんのっていう、モキュメンタリー調コメディミュージカルである。主演のモリー・ゴードンとベン・プラットは子どもの頃から一緒に演劇スクールで学んだ幼馴染で、シナリオのほとんどは彼らや彼らの友人が体験したことがベースになっているとのこと。

それにしても子どもも大人もクセが強いんじゃぁ〜。そして息子のトロイが本当にチャラいアホなんだけど、腐ることなく奮闘する姿がなんだかんだ言って憎めない。全体的にとっちらかっておりツメが甘いところはあるものの、まあそれはいいじゃない。ノスタルジックなムードを漂わせながら、程よい毒気のユーモアと演劇への愛ある風刺と皮肉がてんこ盛りでニヤニヤしてしまう。まさかのリーサル・ウエポン登場でほっこりするし、子どもたちの素晴らしいミュージカルシーンだけでお釣りがくる。そしてやっぱり、みんなでひとつのものを創り上げていくのって素敵じゃない?

trailer: