銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】ローズの秘密の頁

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劇場で観た映画を適当に紹介するシリーズ’18-11
 

うんちく

英国とアイルランドの文学を対象としたコスタ賞で「BOOK OF THE YEAR」に輝いたセバスチャン・バリーの同名小説を、『マイ・レフトフット』や『父の祈りを』で知られる巨匠ジム・シェリダンが映画化。40年にわたり精神病院に収容されていた老女の知られざる過去が明かされるヒューマン・ドラマ。『キャロル』『ドラゴン・タトゥーの女』などのルーニー・マーラ、イギリスを代表する大女優ヴァネッサ・レッドグレーヴのほか、『シング・ストリート 未来へのうた』などのジャック・レイナー、『きみがぼくを見つけた日』などのエリック・バナなど次世代の注目株が出演している。
 

あらすじ

アイルランド西部。精神科医のスティーヴン・グリーンは、取り壊しが決まった聖マラキ病院から転院する患者たちの再診に訪れる。自分が産んだ赤ん坊を殺した精神障害犯罪者として、40年ものあいだ収容されているローズ・F・クリアを診ることになるが、彼女は自分の名が「ローズ・マクナリティ」であると訴え、赤ん坊殺しの罪を否認し続けていた。大切にしている聖書のなかに何十年にもわたって密かに日記を書き綴っていたローズは、グリーン医師に半世紀前からの自分の人生を語り始め……
 

かんそう

アイルランドには英国による支配に抗ってきた長い長い歴史があり、英国からの独立派(カトリック)と共存派(プロテスタント)の対立の構図がある。ということに加え、カトリック(神父)とプロテスタント(牧師)の違いや教会が持つ絶対的権力などの宗教的背景、かつての精神病院が孕んできた問題などさまざまな予備知識がないと、この物語が腑に落ちないと思われる。歴史と宗教の闇、精神病院の悪しき慣習に翻弄され、その隙間に堕ちてしまった女性の半生だからだ。なので「アイルランド 歴史」ってググってから観に行くといいよ。と言っておいて何だが、映画として脇が甘すぎてもう、どこからツッコミを入れたらいいのか分からない。ルーニー・マーラヴァネッサ・レッドグレーヴになる違和感より、ご都合主義にも程があるだろうという短絡さである。が、アイルランドの美しい自然、美しいピアノの旋律を背景にして、ひとつの愛を貫くルーニー・マーラの美しさを堪能しているうちに、物申したい気持ちが相殺される驚くべき作品だ。その瞳に吸い寄せられた男たちが恋に狂ってしまうのも仕方のないことであるし、そりゃ都合よく落下傘で降りてくるし、40年間閉じ込めたのちに贖罪するよね。ルーニー・マーラ恐るべし。(そうじゃない