銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】TENET テネット

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映画日誌’20-38:TENET テネット
 

introduction:

ダークナイト』シリーズ、『インセプション』『インターステラー』などで知られる鬼才クリストファー・ノーラン監督が、オリジナルの脚本で描くサスペンスアクション。〈時間のルール〉から脱出し、第三次世界大戦を止めるというミッションを課せられた”名もなき男”が、危険を冒しながら任務を遂行するさまを描く。主演は、名優デンゼル・ワシントンの息子で、スパイク・リー監督『ブラック・クランズマン』などのジョン・デヴィッド・ワシントン。『トワイライト』シリーズなどのロバート・パティンソンエリザベス・デビッキマイケル・ケインケネス・ブラナーなどが共演する。7か国を舞台に、70ミリフィルムのIMAXカメラで撮影された。(2019年 アメリカ)
 

story:

ウクライナのオペラハウスで、テロ事件が勃発。特殊部隊員として館内に突入した「名もなき男」は、仲間を救うため身代わりとなって捕えられるが、自白を拒み自殺用の薬物を飲んでしまう。しかし、その薬は何故か鎮痛剤にすり替えられていた。昏睡状態から目覚めた彼は、フェイと名乗る男からミッションを告げられる。それは未来からやってきた敵と戦い、第三次世界大戦を防いで世界を救うというものだった。未来を変えるという謎のキーワード「TENET(テネット)」を与えられた「名もなき男」は、人類滅亡の危機に立ち向かうが...
 

review:

イギリス、ロンドンのウェストミンスター生まれの50歳。ロンドン大学でイギリス小説を学ぶ傍ら、短編映画を撮り始める。弟のジョナサン・ノーランが書いた短編を原案にした『メメント』で注目を集め、その後の代表作は『ダークナイト』『インセプション』『インターステラー』『ダンケルク』、そして『TENET テネット』である。私も『メメント』以来、クリストファー・ノーランという鬼才に驚きと感動を与えられてきた。
 
とりわけ『ダークナイト』は、アメコミに全く興味がなくマーベル作品をほぼ観たことがなかった私にとって、驚異的な作品だった。バットマンであるブルース・ウェインの心に巣くう恐怖、葛藤と苦悩を織り交ぜながらストーリーに重みと影を持たせつつ、善悪や正義を超越した闇のヒーローの美学を鮮やかに描き出し、アメコミに全く興味がなくマーベル作品をほぼ観たことがなかった私の心を鷲掴みにしたのである。
 
そして『インターステラー』、SF映画の金字塔のひとつと言っても過言ではない。ゴリゴリのSF映画でありながら、時空を超えた父娘の愛が人々の胸を打った。ブラックホールとかワームホールとか特異点とか5次元なんなのもう、というレベルの人から、ハードなSFファンまで虜にする、クリストファー・ノーランの映像世界。ほとんどの監督がデジタルカメラで撮影する時代においてフィルム撮影にこだわり続けているが、それがIMAXカメラなのがミソである。そしてIMAXの臨場感、没入感を最大限に発揮させるべく、極力CGを使わず「本物」を使用することで有名だ。
 
『TENET テネット』公開にあたり、ノーラン監督の過去作品があちこち上映されていた。『インターステラー』をIMAXレーザー/GTテクノロジーで観たという人々の感嘆の声に押され、苦手な池袋の街に行く決心をする。だってIMAXレーザー/GTテクノロジーのシアターは国内に二館しかないのよ。仕方ないのよ。169分の長丁場に備え、贅沢にもプレミアムクラスで鑑賞したが、一片の悔いなし。IMAXレーザー/GTテクノロジーで観る『インターステラー尊い。生きてるうちに観れて本当に良かった・・・(合掌)
 
さて、『インターステラー』の上映を待っていたそのとき、唐突にIMAXのフルスクリーンでオペラハウスに突入する特殊部隊の映像が流れ始めた。あれよあれよと映像に引き込まれて驚いていると、『TENET テネット』の予告編であった。えーん、IMAXレーザー/GTテクノロジーで予告編観てしまったら、本編もIMAXレーザー/GTテクノロジーで観るしかないやんけ!!と言うわけで、世界中のIMAXにおける『TENET テネット』の公開4日間のオープニング成績の中で第1位を達成した池袋・グランドシネマサンシャインのチケット争奪戦に参加することに。
 
0時に販売開始だが、ぜんぜんつながらねー。諦めてお風呂に入り、0:45頃サイトを覗いてみるとプレミアムクラスのど真ん中が一席だけポッカリと空いている。おそらく販売開始と同時にポチれたけど、最終的に買わなかった人がいたのだろう。熾烈な争いが繰り広げられている間その人にホールドされていたため、誰も気付かなかったのだろう。これは、年間十数万円を映画館に落とす私への、映画の神様からのプレゼントだろう。日曜日の夜という家族団欒タイムだったが、家人の冷たい視線を振り切ってチケットを購入。(穏やかな性格の家人がフテ寝するという事件が起きる。)
 
長い長い前置きの末、『TENET テネット』がどうだったかって?そんなの愚問である。「なんかよくわかんないけど、すげーおもしろかったし、すげー映画観た」以上である。考えるな、感じろ。って、TENETの謎を説明する科学者のお姉さんも言ってた。ちなみに、難解だ難解だってみんなが言うので少しだけ予備知識を入れて観たため、物語の仕組み自体は理解した。それでも展開に脳味噌がついていかない。ニールお前何者。いや、考えるな、感じろ。って自分に言い聞かせる。でも、退屈する暇はない。本当にすごいなと思うのは、わからなくても楽しめるクリストファー・ノーランの映像の力である。IMAXで観たほうがいいのか?という問いに対して答えると、クリストファー・ノーランIMAXで観てって言ってるから、そうしてあげて。と言うしかない。そ、そのうち、もう一回くらい観てあげてもいいかな・・・。
 

trailer: