映画日誌’20-39:マティアス&マキシム
introduction:
『わたしはロランス』『たかが世界の終わり』などのグザヴィエ・ドランが監督と脚本を務めたラブストーリー。友情と恋愛感情のあいだで揺れ動く幼馴染みの2人の葛藤を描き出す。『トム・アット・ザ・ファーム』以来6年ぶりにドラン自身が出演し、『Mommy マミー』などのアンヌ・ドルバル、『キングスマン ファースト・エージェント』などのハリス・ディキンソンらが共演する。2019年第72回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。(2019年 カナダ,フランス)
story:
ともに30歳のマティアスとマキシムは、5歳からの幼馴染。ある日、一緒に参加したパーティーで、友人の妹らが監督する短編映画で男同士のキスシーンを演じることになってしまう。その思いがけない出来事をきっかけに、2人は秘めていたお互いの気持ちに気づき始める。美しい婚約者がいるマティアスは、思いもよらない空いてに芽生えた感情に戸惑いを隠しきれず、一方のマキシムはこれまでの友情が壊れてしまうことを恐れ、思いを封印したままオーストラリアに旅立つ準備をしていた。別れの日が目前に迫るなか、抑えることができない本当の思いを確かめようとする2人だったが…。
review:
今月あまりにも忙しくて会社から働きすぎだぞ♡って怒られたりしていたので、この作品を劇場で観賞してから2週間以上放置していた。そのため記憶が薄れていることを前置きしておくが。
いいか。『わたしはロランス』以来、美しき天才グザヴィエ・ドランをウォッチングしてきた”そこそこ”ファンとして気に食わないところが2点あるぞ。ひとつはグザヴィエ・ドランが美しくないことだ。そしてもうひとつは、作品全体がガチャガチャと煩いことだ。
おそらく、どちらも監督の意図だろう。ドラン演じるマキシムの冴えないヘアスタイルと野暮ったいファッションとだらしない身体は、弁護士として颯爽と働くマティアスのスマートな佇まいと実に対照的だ。ガチャガチャと煩いパーティーの喧騒は、マティアスとマキシムのあいだに流れる静寂を際立たせる。
これまでの作品でも用いられてきた、いかにもグザヴィエ・ドランらしい演出を盛り込みながら、新しい表現にも取り組む。挑戦的でたいへんよろしい。が、展開のもどかしさにモヤモヤする苛立ちも監督の計算づくだとして、あのラストシーンに全てが集約されているとしてもだ、た、退屈〜!!!
たしかに時折ハッとするような美しい映像表現もあったが、これまでの作品と比べるとそれほどでも。音楽の使い方も少々マンネリを感じるし、無駄な描写が多い印象。行間を読めっていうタイプの監督だけど、読めねぇー、読めねぇよ。ドランの瑞々しい感性と圧倒的な美学で描かれる、ヒリヒリとした高揚感はどこへ・・・。という訳で、次回作に期待。