銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】ショータイム!

映画日誌’23-52:ショータイム!

introduction:

『奇跡のひと マリーとマルグリット』のジャン=ピエール・アメリスが監督・脚本を勤めた人間ドラマ。経営難に陥った農場を立て直すべく、納屋を改装してキャバレーを作った実話がベースになっている。出演は『セラヴィ!』などのアルバン・イワノフ、『TAXi ダイヤモンド・ミッション』などのサブリナ・ウアザニら。(2022年 フランス)

story:

フランスの中南部、カンタル地方。酪農家であり農場主のダヴィッドは、経営危機により3代続いた農場が差し押さえられそうになっていた。民事裁判所の判事から2カ月の猶予を与えられたものの、打開策はなく途方に暮れて仲間とパブで酒を煽るしかなかった。その帰り道、ふと立ち寄ったキャバレーで、ボニーという妖艶なダンサーが繰り広げるパフォーマンスに釘付けになったダヴィッドは、納屋を改装してキャバレーを作ることを思いつく。

review:

3代続いた農場が経営難に陥り、民事裁判所の判事から与えられた猶予はたったの2か月という背水の陣で、農場の納屋を改装してキャバレーをつくることを思いつく男、ダヴィッド。いやまあ、思いつく人は他にいくらでもいそうだが、反対を押し切ってそれを実現させるために奔走し、パフォーマーを集めて実現させてしまう。しかもそれが、2015年の実話がベースとのことで驚く。

ボニーを演じたサブリナ・ウアザニの鍛えられた肉体とパフォーマンスがすごいので、本職ダンサーなのかな?と思ったけれど、女優さんのようである。笑顔が素敵。脇を固めるクセつよの登場人物たちもそれぞれキャラクターが立っていて、程よいユーモアでクスリと笑える脚本がいい。じんわり暖かい悲喜交々のドラマがコンパクトにまとまっており、ただただ楽しかった。

大きな夢ばかり見ていると家族に揶揄されているダヴィッドだが、それがどんなに荒唐無稽でも、人に何と言われようとも、思いついたことを実行に移すこと、最後まで諦めずに実現させることの尊さを改めて思い知らされる。自分が信じた未来を、自分の力で引き寄せること。曖昧で不確かな未来に、不安で心が押し潰されそうになることも多いけれど、ダヴィッドの生き様を心に刻んで生きていきたい。一緒に食べて、一緒に踊ることは、人生で一番大切だよね。

trailer: