銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】ウォンカとチョコレート工場のはじまり

映画日誌’23-54:ウォンカとチョコレート工場のはじまり

introduction:

チャーリーとチョコレート工場』に登場した工場長ウィリー・ウォンカの始まりの物語を描くファンタジーアドベンチャー。『パディントン』シリーズのポール・キングが監督と脚本を手掛け、『ハリー・ポッター』シリーズのデイビッド・ヘイマンが製作を務めた。主演は『DUNE デューン 砂の惑星』『君の名前で僕を呼んで』などのティモシー・シャラメ。『ラブ・アクチュアリー』のヒュー・グラント、『シェイプ・オブ・ウォーター』のサリー・ホーキンス、『女王陛下のお気に入り』のオリヴィア・コールマン、「ミスター・ビーン」のローワン・アトキンソンなど豪華な顔ぶれが脇を固める。(2023年 アメリカ)

story:

発明の天才にしてチョコレートの魔術師ウィリー・ウォンカは、亡き母と約束した世界一のチョコレート店を開くためという夢をかなえるため、一流のチョコ職人が集まるチョコレートの町へと脚を踏み入れる。彼のチョコレートはあっという間に人々を虜にし評判となるが、町を牛耳る「チョコレート組合」から目をつけられてしまう。さらにウォンカのチョコレートを狙う謎の小さな紳士ウンパルンパも登場し、事態はますます面倒なことになり・・・。

review:

ロアルド・ダール原作の児童小説『チョコレート工場の秘密』に登場するチョコレート工場の工場主ウィリー・ウォンカの若き日の冒険を描いた本作、2005年にティム・バートン監督×ジョニー・デップ主演で大ヒットした『チャーリーとチョコレート工場』の前日譚ではないので要注意である。どちらかと言うと、原作者に嫌われ興行的に失敗し日本未公開で誰も見てない1971年版の「夢のチョコレート工場」の前日譚のようだ。

ティム・バートンの毒気やジョニー・デップが演じたひねくれ者のウィリー・ウォンカを期待して観に行くと、ピュアな瞳のティモシー・シャラメに辟易することだろう。逆にシャラメのリサイタルだと思って観ると楽しめるのかもしれない。素敵な音楽と映像美のシャワーで多幸感に包まれて、もっとこんなふうにピュアでキラキラした世界で生きていたかった・・・と人生を振り返ったりしてしまう。とりあえず、ここがティモシー・シャラメがいる世界線でよかった。

銭ゲバオリヴィア・コールマンや優しい思い出のサリー・ホーキンス、歌い踊る顔が緑色の小さなヒュー・グラントなど、脇を固めるキャストが大御所、実力派揃いでとっても贅沢。ユーモアだけでなく、業界を牛耳る企業カルテルや権力との癒着、弱者が搾取される構図など社会風刺が利いており、見応えがあった。ポール・キング監督ってすごいな。『パディントン』シリーズが面白いとは聞いてたけど、ぜひ観てみたくなった。そしてチョコレート食べたい。

trailer: