銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】丘の上の本屋さん

映画日誌’23-16:丘の上の本屋さん
 

introduction:

“イタリアの最も美しい村”のひとつ、チヴィテッラ・デル・トロントを舞台に、古書店に集まる人々を描いたドラマ。本を通して絆を深める老人と少年の姿を映す。監督は『ギリシャでの出来事』などのクラウディオ・ロッシ・マッシミ。『フォードvsフェラーリ』『我が名はヴェンデッタ』などのベテラン俳優レモ・ジローネが主演し、『これが私の人生設計』などのコラード・フォルトゥーナ、ディディー・ローレンツ・チュンブ、モーニ・オヴァディアらが共演する。(2021年 イタリア)
 

story:

イタリアの風光明媚な丘陵地帯を見下ろす丘の上の小さな古書店。入れ替わり立ち替わり訪れる風変わりな客を温かく迎え入れる店主のリベロは、ある日店の外で本を眺める移民の少年エシエンと出会う。本が好きで好奇心旺盛なエシエンを気に入ったリベロは、コミックから児童文学、中編小説、長編大作、さらに専門書まで次々と店の本を貸し与える。エシエンはリベロが語る読書の素晴らしさに熱心に耳を傾け、本の感想を語り合ううちに、いつしか彼らは年齢や国籍を越えた友情で結ばれていく。
 

review:

この映画を楽しみに、これから観に行こうとしている人はここで回れ右して、観てから戻ってきてほしい。と言い垂れつつ、本屋さん版『ニュー・シネマ・パラダイス』的な雰囲気を期待して観に行こうとしている皆さん、当たり前だけど監督はジュゼッペ・トルナーレじゃないからね!!かく言う私もまんまと牧歌的なムードに惹かれて観に行った訳であるが、これは・・・映画としてのクオリティが一定の水準に達していないと思うの・・・。
 
ユニセフの共同製作らしいけど、学生の卒業制作かな?と思ってしまうほど。クサい台詞回しやワザとらしい演出が昔の日本のドラマみたい、と言えばわかるだろうか。役者のアクションも、背景のエキストラも何もかも、いかにもそこに配置しましたよという手垢がついていて、全部ウソくさいのである。逆に言えば、ここまで作り物感を出すのは至難の業。狙っている可能性すらあるが、功を奏してないので無念。
 
極め付けは、物語が凡庸でのっぺりと薄っぺらい。イタリア、街の古書店、周囲に愛されているおじいちゃん店主と好奇心と向学心はあるが貧しい移民の子どもの交流、彼らを取り巻くユニークな人々。使い古された感ありつつもテーマとコンセプトは悪くないのに、脚本がもう少しどうにかならなかったものか。ただ、チヴィテッラ・デル・トロントの風景は美しかったし、本は素晴らしいよね。それは間違いない。
 

trailer: