銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊

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映画日誌’22-05:フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊
 

introduction:

グランド・ブダペスト・ホテル』『犬ヶ島』などのウェス・アンダーソン監督が、フランスの架空の街にある雑誌社で働く編集者たちの活躍を描いた人間ドラマ。『ゴーストバスターズ』シリーズなどのビル・マーレイ、『スリー・ビルボード』などのフランシス・マクドーマンドの他、オーエン・ウィルソン、エドワード・ノートンティルダ・スウィントン、レア・セドゥ、ウィレム・デフォーシアーシャ・ローナンウェス・アンダーソン作品の常連に加え、ベニチオ・デル・トロティモシー・シャラメエイドリアン・ブロディら豪華な顔ぶれが出演。第74回カンヌ国際映画祭に正式出品された。(2021年 アメリカ)
 

story:

20世紀フランスの架空の街。米国新聞社の支社が発行する雑誌「フレンチ・ディスパッチ」は、アメリカ生まれの名物編集長アーサー・ハウイッツァー・Jr.が集めた一癖も二癖もある才能豊かな記者たちが活躍し、国際問題からアート、ファッションから美食に至るまで深く斬り込んだ唯一無二の記事で人気を獲得している。ところがある日、編集長が仕事中に心臓まひで急逝。彼の遺言によって廃刊が決定し、編集長の追悼号にして最終号が発行されることになるが...
 

review:

米国新聞社の支社が発行する「フレンチ・ディスパッチ」誌の編集部は、アンニュイ・シュル・ブラッセ(Ennui-sur-Blasé)というフランスの架空の町にある。アンニュイもブラッセも「退屈」といった意味らしい。編集長の急死により廃刊が決定し、最終号には追悼文と共に4つの記事が掲載されることになりましたとさ、というお話である。
 
「フレンチ・ディスパッチ」は、「ニューヨーク・タイムズ」紙の記者だったジェーン・グラントと夫のハロルド・ロスによって1925年に創刊された、老舗雑誌「ニューヨーカー」がモデルになっている。ウェス・アンダーソンは高校の図書館で『ニューヨーカー』誌に出会い、夢中で読み耽ったそうだ。本作に登場する編集者や記者たちは、「ニューヨーカー」で活躍した実在の人物のイメージを纏っている。
 
憧れてやまないザ・ニューヨーカー」誌、そしてパリへの偏愛をこれでもかと詰め込み、傾倒する古き良きフランス映画へのオマージュを散りばめ、ウェス・アンダーソンの独特の世界観を構成するデザインや色彩、カメラワークはいずれも素晴らしく、キャストも無駄に豪華で見応えがあった。が、如何せん、ウェス・アンダーソンの作品にはある意味、抑揚がない。抑揚はないが、やたらと情報量が多い。
 
懸命に過多な情報を噛み砕こうと努力したが、私はこの作品と対峙したとき、とても疲れていた。考えることが多すぎて眠れず、慢性的な睡眠不足に陥っていた。3つのストーリーによるアンソロジー、全てのストーリーにおいて起承転結の「転」で意識を失った。ハッと気づいたら「結」だった。レア・セドゥはどうなったのか、ティモシー・シャラメになにがあったのか、シアーシャ・ローナンはどこで出てきたのか、さっぱり・・・。念のため断っておくと、ウェス・アンダーソンのことは大好き(のはず)である・・・。
 

trailer: