銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】ネクスト・ゴール・ウィンズ

映画日誌’24-15:ネクスト・ゴール・ウィンズ

introduction:

ジョジョ・ラビット』『マイティ・ソー』シリーズのタイカ・ワイティティ監督が、世界最弱のサッカーチームがワールドカップ予選で起こした奇跡のような実話をもとに映画化したコメディドラマ。『それでも夜は明ける』のマイケル・ファスベンダーが主演を務め、『ハント・フォー・ザ・ワイルダーピープル』のオスカー・ナイトリー、「ハンドメイズ・テイル 侍女の物語」のエリザベス・モスらが共演する。(2023年 イギリス・アメリカ)

story:

米領サモアのサッカーチームは、2001年にワールドカップ予選史上最悪の0対31の大敗を喫して以来、1ゴールも決められずにいた。次の予選が迫るなか、破天荒で型破りな性格のためアメリカを追われたトーマス・ロンゲンが監督に就任する。かつて鬼コーチと呼ばれたロンゲンはチームの立て直しを図り、反発にあいながらも猛特訓を開始。選手とともに奇跡の一勝を目指すが・・・。

review:

ワールドカップ予選史上最悪の0対31の大敗を喫した世界最弱のサッカーチームが、初勝利を目指して2014年FIFAワールドカップ予選に挑むという何とも王道なスポーツドラマだが、実話ベースである。2014年にドキュメンタリー映画ネクスト・ゴール! 世界最弱のサッカー代表チーム0対31からの挑戦』としても公開されたエピソードを、タイカ・ワイティティが独特のユーモアを交えて再構成したものだ。

本作を観て米領サモアサモア独立国の違いを初めて知るという体たらくだが、これはサモアの人々のことが好きにならざるを得ない。みんな陽気で明るく、心優しくて素朴だ。FIFA初のトランスジェンダー選手であるジャイヤ・サエルアが本作でも重要な役どころで登場するが、その存在が「ファファフィネ(第三の性)」として当たり前に受け入れられている社会にも、心が和む。ところで米領サモアサモア独立国の間には日付変更線が存在するって知ってた?

鬼コーチのロンゲンも、選手たちも、みんな挫折を味わった人々だ。ぶつかり合いながらもそれぞれが成長し、自分の人生を再生させていくストーリーがていねいに紡がれる。そしてワイティティ監督独特のイタズラ心というか茶目っ気というか、コントのようなユーモアが程よい塩梅で散りばめられおり、まんまと笑わせられてしまう。現実が厳しいと、悪い人が出てこない優しい世界が心に沁みる・・・とか言ってたら都内の上映がほぼほぼ終わってて何かゴメェン・・・。

trailer: