銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】グレタ GRETA

劇場で観た映画を適当に紹介するシリーズ’19-60
『グレタ GRETA』(2018年 アイルランド,アメリカ)
 

うんちく

クライング・ゲーム』『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』のニール・ジョーダンが監督・脚本を務めたサイコスリラー。アカデミー賞主演女優賞にノミネートされた『エル ELLE』などで知られるフランスを代表する女優イザベル・ユペールと、『キック・アス』シリーズなどのクロエ・グレース・モレッツが初共演で主演を務める。『イット・フォローズ』などのマイカ・モンロー、『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』などのスティーヴン・レイらが共演。

 

あらすじ

ニューヨークの高級レストランでウェイトレスとして働くフランシスは、家路の地下鉄で誰かが座席に置き忘れたバッグを見つける。その持ち主は、都会の片隅でひっそりと暮らしている未亡人グレタ。彼女の自宅までバッグを届けに行ったフランシスは、彼女に亡き母への思慕を重ねてしまう。年の離れた友人として親密になっていく二人だったが、グレタのフランシスへの行動は日に日に常軌を逸していき、ストーカーのようなつきまといへと発展する。グレタの奇行に怯えるフランシスは、親友のエリカとともに恐ろしい出来事に巻き込まれていくが...。
 

かんそう

フランスの至宝、イザベル・ユペールに98分間凄まれる映画です。以上です。と言いたいところだが、映画と全く関係のない私的な話をすると(2回目)、12月初旬にこの作品を鑑賞してから現在に至るまでのあいだに「引越し」という人生におけるストレス要因の上位にランクインする一大イベントがあり、レビューを書くような余裕があるわけないだろう。したがってレビューを書けるほど細かいディテールを覚えておらんのだが、おぼろげな記憶とネットに散らばっている情報をつなぎ合わせながら作品について紡いでみると、ムチムチのクロエ・グレース・モレッツちゃんが大御所イザベル・ユペール姐さんにストーカーされるサイコな作品である。映画の題材としては使い古されたもので特筆すべき変化球もなく、そこ行ったらあかんって場所に行っちゃったりする系だしツッコミどころ満載。なのになんだか不思議な求心力を持つスリリングな展開に引き込まれてしまい、観ている間は面白かった。その理由はひとつ、イザベル・ユペールその人だ。ある時はミステリアスに妖艶に、あるいは狂気じみた、かと思えばコミカルだったりと、作品ごとに全く異なる印象を与えながら幅広い役柄を演じ、その演技力と存在感で魅了するフランスの大女優。色んな意味で大きく成長したクロエ・グレース・モレッツとの化学反応で、物語に奥行きと説得力を与え、観る者の恐怖心を煽る。生きてる人間が一番こわい。細かいこと覚えてないからイザベル姐さんに全部押し付けようってわけじゃないよ…。