銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】デトロイト

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 劇場で観た映画を適当に紹介するシリーズ’18-07

デトロイト』(2017年 アメリカ)

 

うんちく

女性初のアカデミー賞監督賞を受賞した『ハート・ロッカー』や『ゼロ・ダーク・サーティ』で知られるャスリン・ビグロー監督が、米史上最大級の暴動「デトロイト暴動」の最中に起こった“戦慄の一夜”を描く社会派サスペンス。出演は『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』、『パシフィック・リム:アップライジング』などのジョン・ボイエガ。『レヴェナント:蘇えりし者』などのウィル・ポールター、『アベンジャーズ』シリーズのアンソニー・マッキー、『トランスフォーマー/ロストエイジ』ジャック・レイナーら共演している。脚本は『ハート・ロッカー』『ゼロ・ダーク・サーティ』も手がけたマーク・ボール
 

あらすじ

1967年7月、アメリカ・ミシガン州デトロイトヴェトナム戦争からの帰還を祝っていた酒場を摘発した警察への反発をきっかけに大規模な暴動が発生し、街が騒乱状態となる。暴動発生から3日目の夜、若い黒人客たちで賑わうアルジェ・モーテルから銃声が鳴り響き、捜査のためにデトロイト警察、ミシガン州警察、ミシガン陸軍州兵、地元警備隊がモーテルの別館に殺到。そして数人の白人警官が捜査手順を無視し、偶然モーテルに居合わせた若者たちに対して、自白を強要する暴力的な尋問を開始し……
 

かんそう

つらかった。絶対に観るべき作品であることは間違いないが、こんなにしんどい映画は久しぶりかもしれない。デトロイト暴動のカオスを臨場感を持って描き、理不尽な差別と暴力に曝される黒人たちの、怒り、悲しみ、恐怖を、あまりにも強烈に、生々しく体感する。演じるほうも、非常にしんどい仕事だったのではないかと察するほどだ。レイシストの警官役にアメリカ生まれではない俳優が多いのは、そういう理由だからかもしれないと、勝手に憶測する。白人俳優がファニーフェイス揃いだったのに比べて、黒人俳優がやたらとハンサム揃いだった。そんななかでも、ジョン・ボイエガの存在感が作品に重厚感をもたらしており、と思ったら主演の扱いかよ!と驚くくらいには主演としての存在感が薄かった。興行的に主演に据えたってことか。感想がどんどんどうでもいい方向に向かっていくが、1960年代のアメリカと言えば、アフリカ系アメリカ人による公民権運が最も盛んだった時期だ。1964年に公民権法が制定されるも、一部の白人による有色人種への人種差別感情は収まることなく、本作で描かれている「アルジェ・モーテル殺人事件」は1967年の出来事だ。そして、白人警察官が丸腰の黒人を射殺するような事件は現代でも発生しており、その悪夢はいまなお続いている。やりきれない思いで満たされるが、絶望のなかに残るほんの少しの救済と、教会に響き渡るラリーの歌声に心を助けられる。モータウンレコードを産んだデトロイトの、闘いの歴史。映画史に残る傑作。