銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】エヴァ

劇場で観た映画を適当に紹介するシリーズ’18-47
エヴァ』(2018年 フランス)
 

うんちく

マリー・アントワネットに別れをつげて』などのブノワ・ジャコー監督が、かつてジャンヌ・モロー主演で『エヴァの匂い』として映画化されたハドリー・チェイスの傑作小説「悪女イヴ」を再映像化。高級娼婦に魅了された若き作家が、破滅の道をたどる姿を描く。『エル ELLE』でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされ、巨匠ミヒャエル・ハネなど名だたる監督とキャリアを築いてきたイザベル・ユペールが高級娼婦を演じる。『たかが世界の終わり』などのギャスパー・ウリエル、『シャトーブリアンからの手紙』などのマルク・バルベ、『ルビー&カンタン』などのリシャール・ベリらが出演。
 

あらすじ

他人の戯曲を盗作して作家デビューし、成功を手にした美しい男ベルトラン。周囲から2作目を期待されるが筆は進まず、出資者による催促から逃れるようにアヌシーの別荘に向かう。到着すると、吹雪で立ち往生した男女が別荘の窓ガラスを割り侵入し、部屋の中でくつろいでいた。腹を立てたベルトランは男を追い出し、入浴中の娼婦エヴァに詰め寄るが、一瞬で彼女に心を奪われてしまう。その後も。次作の題材にするためという理由でエヴァに近づくが、冷たくあしらわれたベルトランは苛立ちを募らせ...
 

かんそう

映画の情報を仕入れようとして「エヴァ 映画」でググると『EVA』とか『エヴァの告白』とか『エヴァの恋人』とか『エヴァンゲリオン』とか過去の映画作品がたくさん引っかかって目的に辿り着けない。というくらい、”エヴァ”は象徴的な名前だ。旧約聖書の創世記に登場する人類最初の女性イヴに由来し、語源はヘブライ語で「命」または「生きるもの」を意味するそうだ。”エヴァ”という名前を持つ高級娼婦をフランスを代表する女優イザベル・ユペールが演じる。『エル ELLE』で60代と思えぬ色気と官能を見せつけた彼女とあって、とても楽しみにしていた。が、イザベル・ユペールの魅力を持ってしてもこの映画の面白さがさっぱり理解できず、しばらくのあいだ4つの胃袋を持つ牛のように反芻していたのだが、はたと気付いた。元凶は顔が綺麗なだけが取り柄のギャスパー・ウリエルだ。完全にギャスパー・ウリエルの技量不足で、すべてが台無しなのである。まず、イザベル・ユペール演じる悪女エヴァの虜になった瞬間すら表現できてない。そのため観客のミスリードを引き起こし、ストーリーが展開していくにつれ理解の辻褄が合わなくなっていくのだ。そして悪女に騙される男の滑稽や悲哀、官能というものが全く抜け落ちている。演技に奥行きがなく表情が乏しいため、ずる賢いのか馬鹿なのか分からない。ぼくちん悪女に翻弄されてるなう、って、言葉にできないなら態度で示せ!と詰め寄り、膝を突き合わせて小一時間説教したい気分だ。でも実物を目の前にしたら見惚れるんだろうな(ミイラ取り)。