銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】ボブ・マーリー ONE LOVE

映画日誌’24-25:ボブ・マーリー ONE LOVE

introduction:

「ロックの殿堂」入りも果たした伝説のミュージシャン、ボブ・マーリーの波乱万丈の生涯を描いた映画伝記ドラマ。妻のリタや息子のジギーなど家族や近しい人々が製作に深く関わり、ジャマイカ初の世界的トップスターの知られざる一面を映し出す。『ドリームプラン』のレイナルド・マーカス・グリーンが監督と脚本を手掛け、製作はブラッド・ピット率いるプランBエンターテイメント。『あの夜、マイアミで』のキングズリー・ベン=アディルがボブ・マーリー、『キャプテン・マーベル』のラシャーナ・リンチが妻リタを演じる。(2024年 アメリカ)

story:

1976年、カリブ海の小国ジャマイカは対立する二大政党により国が分断されていた。国民的アーティストとなっていたボブ・マーリーは国内の政治闘争に巻き込まれ、同年12月に銃撃されてしまう。だがその2日後、ボブは怪我をおして8万人の聴衆の前でライブを敢行。その後身の危険を感じた彼はロンドンに移り、名盤『エクソダス』の制作に勤しむ。アルバムの発表、ヨーロッパ主要都市を巡るツアーを経て世界的スターの階段を駆け上がっていくボブ。一方祖国ジャマイカの政治情勢はさらに不安定となり、内戦の危機が迫っていた。

review:

まず前提として、私はBob Marley & The Wailersを正座して聴いて育った。やや大袈裟な表現であるが、ボブ・マーリーの存在や音楽に対しては実に神聖な心持ちで対峙していたので、あながち冗談でもない。90年代に流行ったような軽快なレゲエ音楽には全く興味がないので全く聴いてないが、ボブ・マーリーの魂の叫びのような「レゲエ・ロック」は別格だった。それは、彼が世界の重荷を背負い、人生を賭して「音楽が世界を変える」ことを体現してきた英雄だから。

なので、妻リタや子どもたちが製作に深く関わり、家族しか知らないようなボブ・マーリーの素顔が描かれているという本作の公開を若干痺れながら待ち続け、しかも5月は中旬まで他に公開が楽しみな映画がない状態だったので私の心はカラカラに乾ききり、やっと劇場に辿り着いた時にはビリビリに痺れていたし、スクリーンから恋焦がれたBob Marley & The Wailersのサウンドが流れてきたときには雷に撃たれたようになってた。多分、物凄い形相で観ていたと思う。

いやだって、「Get Up, Stand Up」「I Shot the Sheriff」「Exodus」「Jamming」「One Love」「Is This Love」「Three Little Birds」などお馴染みのナンバーがスクリーンに響き渡り、妻リタとの愛憎や絆が描かれ、「20世紀最高のアルバム」と称された名盤『エクソダス』の制作過程が描かれ、伝説的な「ワン・ラブ・ピース・コンサート」の奇跡が描かれる。珠玉の名曲「No Woman, No Cry」や、一番好きな「Redemption Song」が流れてきたときは宇宙から電波きてた。

最初から最後まで正座する勢いで観ていた。と言いたいところだが、前の座席のにーちゃんが座高高くて下手するとスクリーンに頭がかぶってくるという油断できない状況だったため、否応なしに背筋伸ばして観ていた、というのが正しい。この映画を製作してくれたプランBありがとうだし、製作に深く関与してくれたマーリー・ファミリーやザ・ウェイラーズのメンバーありがとうだし、撮影を全面的にサポートしてくれたジャマイカ首相や文化庁ありがとうという気持ち。

なので、この作品に関しては冷静な評価ができない。ボブ・マーリーを知らない人が観て面白いのかさっぱり分からない。ボブ・マーリーの生い立ちやジャマイカの歴史背景、ラスタファリズムについて調べてから観たほうがいいんじゃないかと思う。なおボブ、婚外子も含めると11人の子どもがおり、100人を超える孫がいるらしい。夭折したけど遺伝子強い。そして初心者はシングル曲を収録したコンピレーション・アルバム『レジェンド』を聴いたらいいと思うぞ。

trailer: