銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから

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映画日誌’21-20:ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから
 

introduction:

あしたは最高のはじまり』のユーゴ・ジェラン監督が『エール!』製作陣と再度タッグを組み、最愛の人が自分を知らないもう一つの世界に迷い込んだ男の顛末を描いたラブストーリー。『私の知らないわたしの素顔』『パリのどこかで、あなたと』などのフランソワ・シヴィルが主演を務め、『マンク ~破戒僧~』などのジョセフィーヌ・ジャピ、『不実な女と官能詩人』などの喜劇俳優バンジャマン・ラヴェルネらが脇を固める。(2019年 フランス,ベルギー)
 

story:

高校時代に一目惚れで恋に落ち、結婚したラファエルとオリヴィア。結婚10年目を迎え、子どもたちに人気のSF作家となり多忙な毎日を送るラファエルと、小さなピアノ教室を運営するオリヴィアの夫婦生活はすれ違ってしまっていた。ある日、オリヴィアの我慢が限界に達し、二人は大喧嘩に。その翌朝、見覚えのない部屋で目を覚ましたラファエルは、自分が卓球好きの冴えない中学教師になってしまっていることに気付く。そこは、ラファエルのことを知らないオリヴィアが人気ピアニストとして活躍している「もう1つの世界」だった。
 

review:

「一番大切な人に出会わなかったら、人生はどうなっていたのだろう?」という、ユーゴ・ジェラン監督のふとした発想から、10年かけてプロットを組み上げたんだそうだ。しかも、『アバウト・タイム』超えのロマンティック・ファンタジック・コメディだと・・・?ということで観に行ったんだと思う。何で観に行ったんだっけ、と観終わったあとに思ったので書いておく。
 
成功して万能感に酔いしれている男が、糟糠の妻のありがたみを忘れて天狗になってたら、妻との立場が逆転している上に自分の存在すら知らない、とういパラレルワールドに迷い込み、問題の認識、原因調査と分析、解決策の立案、解決策の実行という流れで元の世界に戻ろうと奮闘するドタバタコメディである。
 
高校で出会い、魔法にかかったみたいに恋に落ちる様子や、恋に落ちた(しかも、本作をきっかけに交際に発展した)二人がキャッキャウフフしてる様子が何ともかわいらしく、微笑ましい。とにかくジョセフィーヌ・ジャピがかわいい。そんな蜜月を過ごした二人が、ラファエルがSF作家として成功したことですれ違っていく様子がテンポよく描かれる序盤は結構楽しい。
 
パラレルワールドにおけるラファエルのやもめ暮らしが野暮ったいのも笑える。元々いた世界での、都会的な部屋の素敵な暮らしは彼女のセンスによって形作られてきたものであるし、イケてる!って勘違いしていた自分は、彼女がいたから完成したものであろう。自分を形作ってきた大切な誰かの存在が一人欠けただけでも、人生は大きく変わってしまう。
 
そんなことを思い知りながら一番大切なものに辿り着くラファエルなのであるが、序盤のキレの良さと比較して、後半は失速感が否めず。題材は悪くないし、二人が過ごすフランスの田舎の風景は美しいけれど。もはや、親友と組んでる卓球ペアのユニフォームのことしか覚えてないよ。「南葛」って翼くんですやん・・・。というわけで、個人的に『アバウト・タイム』超えは無し。でも、パートナーの存在を前より大切にできてないことに自覚がある人は、身につまされに行きなさい。
 

trailer: