映画日誌’21- 40:死霊館 悪魔のせいなら、無罪。
introduction:
『IT/イット』『アナベル』の製作スタジオが贈る、大ヒットホラー「死霊館」ユニバースの第7作にして、実在の心霊研究家エド&ロレイン・ウォーレン夫妻の実体験をベースにしたメインストーリー『死霊館』シリーズの第3弾。ホラー界の鬼才であり、ユニバース生みの親であるジェームズ・ワンが製作に名を連ね、『エスター』のデビッド・レスリー・ジョンソン=マクゴールドリックが脚本、『ラ・ヨローナ ~泣く女~』などのマイケル・チャベスが監督を務める。シリーズを通してウォーレン夫妻を演じるパトリック・ウィルソンとベラ・ファーミガが同役を続投。(2021年 アメリカ)
story:
1981年、家主を22度刺して殺害した青年アーニー・ジョンソンは、悪魔に取り憑かれていたことを理由に「無罪」を主張。心霊研究家ウォーレン夫妻はアーニーを救うため、彼を凶行に走らせた悪魔の存在を証明するべく立ち上がる。警察の協力を得て調査を進める夫妻だったが、すさまじく邪悪な“何か”に極限まで追い詰められていく。
review:
ラノベみたいな邦題のサブタイトル気に入らない。『死霊館』シリーズはホラー映画史に遺る名作だからダメ絶対。超常現象の調査員であり作家でもあるエド&ロレイン・ウォーレン夫妻の身に実際に起きた事件を映画化したジェームズ・ワン監督『死霊館』は2013年に公開されると全世界で興行収入360億円を超えるヒットとなり、以降『死霊館 エンフィールド事件』などシリーズ化され、世界中を恐怖に陥れてきた。原題は「The Conjuring: The Devil Made Me Do It(悪魔が私にそうさせた)」であり、ダサいサブタイトルつけた配給会社はギルティ。
というわけで、死霊館ユニバース(The Conjuring Universe)の新作である。今回、アナベルは出てこない。いつもとは少しアプローチが異なり、悪魔祓い+ミステリーである。実際の事件は、1981年2月16日、コネチカット州ブルックフィールドで造園土木業に従事する19歳のアーニー・ジョンソンが家主のアラン・ボノをナイフで複数回刺して殺害したが、彼は弁護士と共に「すべて悪魔のせい」と無罪を主張した、というものだ。ウォーレン夫妻がアーニーの家族から相談を受けていたことも、事件後現地の警察に連絡しアーニーの犯行は悪魔の憑依が原因と主張したことも事実である。
霊感探偵ロレイン大活躍でミステリー要素が強いため、『死霊館』シリーズで味わってきた背筋が凍るような恐怖感は少ない。これまでの作品では、実際に起きた心霊現象から浸み出す正体不明の”違和感”が説明のつかない恐怖を生み出してきたが、そうした要素が排除されておりホラー映画としてはマイルド。死霊館ユニバースのコアなファンにとっては若干期待はずれではあったが、とは言えジェームズ・ワンが背後にいるだけのことはあり、これはこれで面白かった。エド&ロレインの夫婦愛もお約束。
そんなことよりだな。上演中にずっと後方からヒソヒソと話し声と笑い声が聞こえてきて気になって仕方がなく、しかもエンドロールが始まると同時にスマホのライトで会場内を照らすなど、ずいぶんと非常識な二人連れがいるんだなぁと思っていたんだが。終演後に明るくなって振り返ってみたらそんな二人連れはおらず、一人でニヤニヤ笑いながら一人で喋ってる若い女性がいらっしゃってだな。こわかったよ・・・。