銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】しあわせな人生の選択

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劇場で観た映画を適当に紹介するシリーズ’17-35
『しあわせな人生の選択』(2015年 スペイン,アルゼンチン)
 

うんちく

監督・脚本を務めたセスク・ゲイが、自身の母親の闘病体験をもとに、人生の最終章を迎える男の姿に迫る人間ドラマ。出演は『人生スイッチ』などアルゼンチンで最も有名な俳優の一人リカルド・ダリンと、『トーク・トゥ・ハー』『あなたになら言える秘密のこと』などでアルモドバル監督やコイシュ監督に愛されてきたスペイン映画界を代表する実力派俳優ハビエル・カマラ。スペイン・アカデミー賞ゴヤ賞>で、作品賞、監督賞、主演男優賞助演男優賞脚本賞と、最多5部門を受賞。
 

あらすじ

スペインで俳優として活躍し、愛犬トルーマンと暮らすフリアンのもとに、カナダで暮らしていた古い友人のトマスが突然やってくる。フリアンのいとこパウラから、彼が末期の肺がんで余命いくばくもないと知らされたからだった。フリアンはすでにがん治療をやめ、身辺整理を始めていた。トマスに説教されることを嫌がり、彼を追い返そうとするフリアンだったが、そんなことはおかまいなしに4日間滞在するという。2人は次第に昔の気のおけない関係に戻り、フリアンの残り少ない時間を愛犬トルーマンの里親探しや、離婚後しばらく会っていない息子に会いに行くことに費やすが...
 

かんそう

よりによって『しあわせな人生の選択』って、おい。配給会社がつける邦題に物申す委員会としては見過ごせないダサさ。ゴヤ賞が台無し。このタイトルに惹かれて観に来る層に、この映画の本質が伝わるとなぜ思うのか。マーケティングしくじり過ぎである。老ブルマスティフ犬の余生とかって愛犬家に訴えたほうがまだマシ。って、原題は『TRUMAN(わんこの名前)』じゃないのさ・・・。わんこ可愛かった。閑話休題。ほんの少し冗長で、蛇足だなと思える描写もあり、そしておそらく鑑賞時の精神状態がよろしくなかったのだろう、それほど心に深く刺さることはなかったのだけど、このレビューをまとめている段階で、じわりと、ああ、あれは凄く良い映画だったのだなと思っている。揺るぎない友情、親子の愛、愛犬との絆が、俳優たちのきめ細かい演技で映し出される。心許した友に最大のわがまま、泣けるじゃないか。