銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】トップガン マーヴェリック

映画日誌’22-19:トップガン マーヴェリック
 

introduction:

1986年に公開され、トム・クルーズを一躍スターダムに押し上げた世界的ヒット作『トップガン』の続編。主人公マーヴェリックを再びトム・クルーズが演じ、『セッション』などのマイルズ・テラー、『めぐりあう時間たち』などのエド・ハリス、『ビューティフル・マインド』などのジェニファー・コネリー、前作でアイスマンを演じたバル・キルマーらが共演。『トロン:レガシー』などのジョセフ・コシンスキーが監督、史上最高の映画プロデューサーと謳われるジェリー・ブラッガイマーが製作を務め、『アメリカン・ハッスル』などのエリック・ウォーレン・シンガー、『ユージュアル・サスペクツ』などのクリストファー・マッカリーらが脚本に参加している。(2022年 アメリカ)
 

story:

アメリカ海軍パイロットのエリート養成学校 ”トップガン” に、伝説のパイロット”マーヴェリック” が教官として帰ってきた。彼らには、かつてない世界の危機を回避するため、不可能とも言える極秘ミッションが課せられていた。空で闘うことを誰よりも知っているマーヴェリックはその厳しさを教えようとするが、訓練生たちは彼の型破りな指導に反発する。その中には、かつてマーヴェリックの相棒だったグースの息子ルースターもいた...。
 

review:

1986年公開の『トップガン』は世界中の人々を熱狂させ、もはやカルチャーそのものであった。少なくとも2〜3年はブームだったのではないかと思う。雑誌から切り抜いたトム・クルーズリバー・フェニックスを下敷き(笑)に挟んでいたし、姉の影響でサントラも腐るほど聴いた。トム・クルーズが身につけていたものは全部流行った。レイバンのサングラス、カワサキのGPZ900R(通称“ニンジャ”)、フライトジャケット、ドッグタグ。MA-1もアホほど流行ったねぇ。
 
何故あれほどヒットしたのか。そりゃもう抜群にカッコよかったからだろう。型破りな主人公マーヴェリックが海軍パイロットとして成長していく物語が、実写にこだわったリアルな映像で描かれた。トムをはじめ俳優たちは実際に戦闘機に乗り、本物のGフォースの洗礼を受けたという。そこに美しき教官とのラブストーリー、友情、親子のドラマが盛り込まれ、究極のエンタテインメントとして結実。それは伝説となった。
 
時は経ち2010年、パラマウント映画がジェリー・ブラッカイマートニー・スコットに対して『トップガン』の続編製作を提案し、続編企画が始動。当初、パイロットが無人機を遠隔操作する新しい時代の空中戦を描くことになるとトニー・スコットがコメントしており、マーヴェリックの出番は最小限になるはずだったという。ところが2012年、残念ながらトニー・スコットが自ら命を絶ち、企画は一度暗礁に乗り上げてしまう。
 
そして2022年。ハロルド・フォルターメイヤー作曲「トップガン アンセム」の旋律、空母から飛び立つ戦闘機のシルエットを見送る、ケニー・ロギンスの名曲「デンジャー・ゾーン」。映画史に残る伝説のオープニングシークエンスが36年の時を経て蘇っただけで、アラフィフ号泣ですやん・・・。そして今作も究極のリアルを求め、IMAXカメラを機内に搭載し撮影を敢行。本物のGフォースに顔を歪める俳優たちが繰り広げる、迫力のドッグファイトに手に汗握る。ちなみにIMAXレーザーで鑑賞した。
 
ずっと前からいましたけどという顔をしてジェニファー・コネリーが出てくるので「あんた誰」ってなるけど安心してください。一作目にジェニファー・コネリーは出てません。ただ、ペニー・ベンジャミンという女性の名は一作目に登場しているらしい。今回、珠玉の名曲「愛は吐息のように」は使われないが、確かにチャーリーとの思い出ソングを使いまわされると興醒めだから賢明な判断と思われる。
 
滑走路でジェット機と並走するカワサキ、懐かしいナンバーが詰め込まれたジュークボックス、火の玉ロック、教官との気まずい初対面、オレンジ色の夕陽、砂浜のビーチバレー。前作へのオマージュがいちいち最高で痺れる。そしてマーヴェリックが抱き続ける親友グースへの変わらぬ思いは、あっという間に36年の時間を埋めてくれた。往年のファンが求めていたものを、ファンの想像を圧倒的に超えるかたちで届けてくれたトムと製作陣に感謝したい。
 
トニー・スコットは、亡くなる2日前にトム・クルーズと『トップガン』続編の企画を話し合うために会っていたという。あなたが生み出した『トップガン』は今も、世界中の人々を熱狂させているよ。どこかで喜んでくれているといいな。
 

trailer: