銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】翔んで埼玉

劇場で観た映画を適当に紹介するシリーズ’19-21
『翔んで埼玉』(2018年 日本)
 

うんちく

パタリロ!」で知られる漫画家の魔夜峰央が、1982年当時自らも居を構えていた埼玉県を自虐的に描き、2015年に復刊され話題となったギャグ漫画「翔んで埼玉」を実写映画化。『ヒミズ『私の男』などの二階堂ふみ、ミュージシャンのGACKTが主演を務め、中尾彬伊勢谷友介らが脇を固める。監督は『のだめカンタービレ』シリーズ、『テルマエ・ロマエ』シリーズの武内英樹
 

あらすじ

かつて、東京都民からひどい迫害を受けていた埼玉県民は、身を潜めてひっそりと暮らしていた。通行手形がないと東京に出入りできず、手形を持っていない者は強制送還されるため、埼玉県民は自分たちを解放してくれる救世主を出現を願っていた。一方、東京にある超名門校・白鵬堂学院では、都知事の息子で生徒会長の壇ノ浦百美が、埼玉県人を底辺とするヒエラルキーの頂点に君臨していた。そんなある日、容姿端麗なアメリカ帰りの転校生、麻実麗の出現により、百美の運命は大きく狂い始める。実は、麗は隠れ埼玉県人で、手形制度撤廃を目指して活動する埼玉解放戦線の主要メンバーだったのだ...
 

かんそう

周りのいい大人たちが口を揃えて面白い面白いと言うので、そんなに言うなら観ようじゃないかと。白鵬堂学院では間違いなくE組入りであろう東京都下にある映画館に行ってきた。ちなみに、元来より魔夜峰央は大好きである。オーブリー・ビアズリーに影響された、黒ベタを印象的に使ったコントラストの強い耽美な画風で、繰り広げられる荒唐無稽なギャグ漫画。要するに「パタリロ!」であるが、幼い日の私は美少年キラー・バンコランとマライヒの人間関係が理解できず、子供心に混乱したものである。今にして思えば、よくぞアニメ化したものだと思うが、現在ほどBLが一般化していない時代にあって、お茶の間はすんなりとそれを受け入れていたように思う。これはもはや魔夜峰央の魔力としか言いようがない。なぜかパタリロが大好きで全巻持っているという幼馴染がおり、大人になってから読み返す機会があったが、魔夜峰央ワールドに取り憑かれるように読破した。と思っていたら、1978年から現在まで連載が続いていると知り、驚いている。すごいな魔夜峰央。という訳で、「翔んで埼玉」も魔夜峰央ワールド全開の荒唐無稽なギャグ漫画として以前より認知しており、ほぼほぼ立ち読みしたので内容は把握していたが(買って読め)、旧来の魔夜峰央ファンを満足させる完成度だったと思う。伊勢谷さんの怪演も良かったが、個人的には、暗黒舞踏メイクの麿赤兒の使い方が一番面白かった。あんなん出落ち感ハンパないし、登場するたび笑うしかないですやん・・・。