銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】スイス・アーミー・マン

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劇場で観た映画を適当に紹介するシリーズ’17-56
スイス・アーミー・マン』(2016年 スウェーデン,アメリカ)

うんちく

スパイク・ジョーンズミシェル・ゴンドリーと同じくMVディレクターを経て映画監督デビューを果たしたダニエルズ(ダニエル・シャイナートダニエル・クワン)が描く奇想天外なバティ・ムービー。無人島で遭難した青年が、死体と共にわが家を目指すサバイバル・アドベンチャーを活写する。主演は『リトル・ミス・サンシャイン』『ルビー・スパークス』などのポール・ダノと、『ハリー・ポッター』シリーズのダニエル・ラドクリフ。2016年のサンダンス映画祭で最優秀監督賞を受賞し、シッチェス・カタロニア国際映画祭では作品賞&主演男優賞のW受賞、そしてヌーシャテル国際ファンタスティック映画祭では観客賞を受賞。

あらすじ

無人島で遭難してしまった孤独な青年ハンク。待てど暮らせど助けは来ず、絶望のあまり自ら命を絶とうとしたその瞬間、波打ち際に打ち上げられた男を発見する。嬉々として駆け寄り話しかけてみるが、すでに冷たくなっていた。しかしその死体から腐敗ガスが出ており、浮力を持っていることに気付く。まさかと思いながらその死体に飛び乗ってみると、水上バイクのように動き出した。意を決したハンクは死体にまたがり、無人島脱出を試みるが…..。

かんそう

一言であらわすと「珍作」である。元ハリーポッター(死体)扮するスイス・アーミー・ナイフならぬスイス・アーミー・マンと、リトル・ミス・サンシャインの喋らないお兄ちゃんが繰り広げる奇想天外の異次元珍道中。オナラに笑い、オナラに感動させられる、馬鹿馬鹿しく摩訶不思議な作品は賛否両論。私も諸手を挙げてと言う訳ではないが、でも、嫌いじゃなかったの・・・。繊細で気弱な非モテを演じさせたら右に出る者無しのポール・ダノは健在だったし、ダニエル・ラドクリフが完璧な「死体」を演じていて素晴らしい。喋るけど。誰からも認められず、自分を卑下して孤独に生きてきた男と、生前の記憶を失った正体不明の死体が、生きる喜びを分かち合う。コミカルでシュールなだけでなく、もう少し、センチメンタルやメランコリックがあれば奥行きが出て良かったかもしれない。実物のサラが言うほど魅力的じゃなくて正直がっかりしたんだが、ハンクのスマホで生きているサラは思い出補正で美化された偶像なんだろうなぁ、なんて思ったりした。今作で映画監督デビューしたダニエルズの今後に期待。