銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】ロダン カミーユと永遠のアトリエ

劇場で観た映画を適当に紹介するシリーズ’17-69
ロダン カミーユと永遠のアトリエ』(2017年 フランス)
 

うんちく

地獄の門》や、その一部を抜き出した《考える人》で高名な“近代彫刻の父”オーギュスト・ロダンの没後100年を記念し、パリ・ロダン美術館全面協力のもと製作された伝記ドラマ。『ポネット』『ラ・ピラート』などの名匠ジャック・ドワイヨンが監督を務め、愛弟子カミーユ・クローデルとの愛憎、芸術家としての苦悩を描く。『ティエリー・トグルドーの憂鬱』でカンヌ国際映画祭セザール賞主演男優賞をW受賞したフランスきっての演技派ヴァンサン・ランドンがロダンを演じ、『サンバ』などのイジア・イジュランがカミーユを演じている。
 

あらすじ

1880年パリ。彫刻家オーギュスト・ロダンは40歳にしてようやく国から注文を受けるようになり、彼の代表作となる《地獄の門》を生み出していく。その頃、内妻ローズと暮らしていたロダンだったが、弟子入りを切望するカミーユ・クローデルと出会う。才能溢れる美貌のカミーユに魅せられた彼は、彼女を自分の助手とし、やがて愛人関係となり激しく愛し合うようになる。しかし彫刻家として野心を抱くカミーユロダンのあいだには次第に軋轢がうまれ...
 

かんそう

え、邦題にカミーユいらなくない?と思ったほどに、中盤でカミーユさんが退場すると一気にストーリーが失速。史実に基づいているとは言え、抑揚がなく退屈なのだ。演出と構成次第でもっとドラマチックに描けたはずなのに、というか史実のほうが余程ドラマチック。カミーユ・クローデルに興味が湧いたので鑑賞後いろいろ調べてみたのだが、内縁の妻ローズとの葛藤も含めて、ロダンとの関係性のなかで描けることがたくさんあっただろうに。まるっきり描き方の問題だと思うがメッセージ性が乏しく、この作品が何を伝えたいのか分からない。ただ、当時の世俗やアトリエの臨場感、制作に取り組む作家の息遣いはよく映し出されており、そしてロダンの類稀なる才能について改めて認識した。なぜなら登場人物が口々に語るから(ガラスの仮面方式)。辛うじて寝落ちせず最後まで観たけど、箇条書きされた下手なドキュメンタリーを観ているような作品であった。