銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】パーソナル・ショッパー

劇場で観た映画を適当に紹介するシリーズ’17-26
パーソナル・ショッパー』(2016年 フランス)
 

うんちく

フランスの鬼才オリヴィエ・アサヤスが、『アクトレス~女たちの舞台~』に続きクリステン・スチュワートを起用し、カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞したミステリー。忙しいセレブに代わって買い物を代行するパーソナル・ショッパーが自らの欲望を膨らませていくうちに、不可解な出来事に巻き込まれていく様を描く。撮影は、『しあわせの雨傘」などフランソワ・オゾン監督作品で知られるヨリック・ル・ソー。アートとカルチャーの最先端ストリート・パリのカンボン通りを舞台に、シャネルやカルティエなどハイブランドの華やかなファッションが劇中を彩る。
 

あらすじ

忙しいセレブに代わり、服やアクセサリーを買い付ける“パーソナル・ショッパー”としてパリで働くモウリーン。ずば抜けたセンスで仕事をこなしていたが、数カ月前に最愛の双子の兄を亡くし、悲しみから立ち直れずにいた。そんな中、まるでモウリーンを監視しているかのような奇妙なメッセージが携帯電話に届き始める。謎の送り主によって、モウリーンの別人になりたいという秘めた欲望が暴かれるうちに、次々と不可解な出来事が起こるようになり...
 

かんそう

ホラー×サスペンス×ファッションって盛り過ぎちゃったから、演出構成を引き算した結果なんだろうなーと思うのだが、引き算し過ぎた感が拭えない。もう少し手の内をみせてくれたほうが、モウリーンの葛藤に寄り添えたんじゃないかと思うんだけど、どうだろう。モウリーンの雇用主であるキーラを演じている女優さんにそれほどセレブ感やカリスマ性が無いので、そりゃクリステン嬢が着たほうが圧倒的に美しいだろ、ってのはともかく、「今の自分よりも恵まれた別人になりたい願望」の実現が表層的で説得力がないことになってしまってる気がするんだけど、どうだろう。悪くなかったけど、全体的に物足りなさと消化不良。ホラー×サスペンス×ファッションのいずれか、一点集中で掘り下げて振り切っちゃったほうが良かったね、きっと。そして下世話な心配であるが、クリステン嬢の脱ぎ損感が半端ない・・・。