銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】50年後のボクたちは

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劇場で観た映画を適当に紹介するシリーズ’17-55
『50年後のボクたちは』(2016年 ドイツ)
 

うんちく

ドイツ国内で220万部以上を売り上げ、26カ国で翻訳されるヴォルフガング・ヘルンドルフの大ベストセラー小説「14歳、ぼくらの疾走」を、『そして、私たちは愛に帰る』などの名匠ファティ・アキンが映画化。学校にも家庭にも居場所のない14歳の少年が、風変わりなロシアからの転校生とともに盗んだ車で旅に出る夏休みを描く。主演は『ゲーテの恋~君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」~』などのトリスタン・ゲーベルと、オーディションで才能を見い出されたアナンド・バトビレグ・チョローンバータル。
 

あらすじ

14歳のマイクは同級生から「変人(サイコ)」と呼ばれ、クラスからはみ出している冴えない中学生。クラスメイトのタチアナに想いを寄せているが、話しかけることすらできない。父親は若い愛人と浮気しており、母親はアル中。どこにも居場所がなく、鬱々とした毎日を暮らしていた。ある日、ロシアのかなり遠い所から移住してきたらしい、チックという名の少し風変わりな転校生がやってくる。目つきが悪く、変な髪型で二日酔い。そんな彼は学校でも完全に浮いてしまい、タチアナのバースデーパーティーの招待状も、マイクとチックの2人には届かない。そして夏休み、チックが青いオンボロのディーゼル車“ラーダ・ニーヴァ”に乗って家にやってきた。「借りてきた」というその車で、2人はチックの祖父が住んでいるという“ワラキア”を目指して旅に出るが...
 

かんそう

ドイツ版『スタンド・バイ・ミー』とも言われているが、ミシェル・ゴンドリーの『グッバイ、サマー』に近いだろう。『グッバイ、サマー』は良かった。そりゃもう良かった。ミシェル・ゴンドリーの作品のなかでは、一等好きだった。そうすると、この類の作品はちょと観てみようかな、などと思ってしまうのである。観るか観まいか迷った場合、時間があれば観る。私が映画を観る理由は、魂が旅に出たがっているからなのかもしれない。まだ見たことのない景色に出逢って、心が震える瞬間を、暗闇に身を潜めてひたすら待ち焦がれているのだ。もしかしたら、そんな瞬間と出逢えるかもしれないと、淡い期待を抱いているのだ。そして私はこの映画を観た。そっと、「わざわざ劇場で観なくても良かった箱」に入れた。