銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】エゴン・シーレ 死と乙女

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劇場で観た映画を適当に紹介するシリーズ’17-7
エゴン・シーレ 死と乙女』(2016年オーストリア,ルクセンブルク

うんちく

わずか28歳で早逝した異端の天才画家、エゴン・シーレの最高傑作「死と乙女」に秘められた謎を解き明かす伝記映画。スキャンダラスな逸話も多く、数多くのモデルと浮名を流した彼にとって、とりわけ大きな存在であった二人の女性――妹ゲルティ、公私にわたるパートナーとなったヴァリとの濃密な愛の日々を通じて、芸術を追求し続けたシーレの半生を描く。監督は俳優としても活躍するディーター・ベルナー。モデル出身の新人ノア・サーベトラがエゴン・シーレを演じた。

あらすじ

20世紀初頭のウィーン。美術アカデミーを退学したエゴン・シーレは画家仲間と“新芸術集団”を結成。16歳の妹ゲルティの裸体画や、場末の演芸場で出逢ったヌードモデルのモアを描いた大胆な作品などで脚光を浴び始めていた。その後、敬愛するクリムトから譲り受けた赤毛のモデル、ヴァリを運命のミューズとして数多くの名画を発表、時代の寵児となっていく。倒錯した幼児性愛者という誹謗中傷を浴びながらも、自らの芸術を追い求めるシーレだったが...

かんそう

類稀れなる才能と美貌で女性たちを虜にするが、非情で自己中心的、だけど憎めない。今で言うときっとサイコパス。そんなエゴン・シーレを演じた新星ノア・サーベトラの美しさに酔い痴れるための映画である。うむ。それにしても、いつの時代にも才能あるひとでなしを支える女性が必ずいるんだな。ろくでなしなんて可愛いもんじゃないよ?ひとでなしだよ?ひとじゃないんだよ・・・?(震え声)でもね、仕方無い。才能のある男は、常識や良識の枠を突き破るくらい尖っていなければ。小さくまとまった表現なんてつまらないし面白くないもの。って、つい最近も人と話してたら、貴方みたいな人はとても貴重な存在だけども、という前置きとともに、若干本気で心配された。何のカミングアウトだこれ。
さて閑話休題。シーレの人物像を美しく描き過ぎ感と奥行きの物足りなさは否めないが、スクリーンに映し出される数々の名画、美しい建築や調度、世紀末ウィーンの退廃的で耽美な雰囲気を堪能しつつ、夭逝の天才画家の人生をなぞるには丁度良い作品なのではないだろうか。