銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!

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 映画日誌’20-43:シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!
 

introduction:

19世紀末のパリを舞台に、ベル・エポック時代を象徴する戯曲「シラノ・ド・ベルジュラック」誕生秘話を描いた伝記ドラマ。劇作家エドモン・ロスタンが、3週間で舞台を作り上げていくさまをユーモラスに描く。監督・原案・脚本は、2016年に上演された本作の舞台版でモリエール賞5部門を受賞したアレクシス・ミシャリク。『最強のふたり』の新鋭トマ・ソリヴェレスが主演を務め、『婚約者の友人』などのアリス・ドゥ・ランクザン、『息子のまなざし』などのオリヴィエ・グルメ、『戦場のブラックボード』などのマティルド・セニエ、『プロヴァンスの休日』などのトム・レーブらが脇を固める。(2018年 フランス)
 

story:

1897年、パリ。無名の劇作家にして詩人のエドモン・ロスタンは、2年前に1週間で舞台を打ち切られて以来、スランプに陥っていた。そんなある日、彼を気に入っていた大女優サラ・ベルナールの口利きで、名優コンスタン・コクランの主演舞台を手掛けるチャンスが舞い込んでくる。その場の思いつきで、実在した剣術家にして作家のシラノ・ド・ベルジュラックを主人公にした「醜男だが行いは華麗な人物」という設定の英雄喜劇を書くことになるが、一向に執筆は進まずにいた。プレッシャーと闘うエドモンだったが、親友で俳優のレオになり変わって衣装係のジャンヌへ愛の言葉を綴るうちに、アイディアと創作意欲が湧き出し...
 

review:

恥ずかしながら「シラノ・ド・ベルジュラック」を知らなかったのだけど、世界中で最も愛されている舞台劇の一つなんだそうだ。19世紀末、ベルエポック時代のフランスで大成功を収めた大人の純愛物語で、当時パリを沸かせた熱狂は今も全く衰えることなく、アメリカではブロードウェイで幾度も上演され、ハリウッドで映画化もされた。日本でも、文学座劇団四季、宝塚など数多くの一流劇団が名舞台を演劇史に刻んでいる。って公式サイトに書いてあったんだけど、ちょっと調べてみたら、幕末から明治にかけての日本を舞台にした「白野弁十郎」なる舞台もあったそうで。シラノ・ベンジュウロウ・・・。
 
演劇史に残る傑作「シラノ・ド・ベルジュラック」が生まれるまでの舞台裏が描かれている。どこまでが史実なのかはちょっと分からなかったが、とりあえず走りながら考える、いわゆるアジャイル開発環境のスタートアップみたいに熱量だけで舞台を創り上げちゃうストーリーである。コミカルでテンポのよい展開、よく練られた脚本と演出で楽しんで観ることができた。愉快で痛快なだけではなく、舞台への愛とリスペクトが感じられる、素敵な作品だったのは間違いない。なんだかドタバタしてて面白かったなぁ・・・ベル・エポック時代のパリは華やかで美しいなぁ・・・という朧げな記憶の糸を辿っているが、何しろ時間が経ちすぎており、もうどこにも辿り着けない・・・。鉄は熱いうちに打て。レビューはすぐ書け。来年からがんばる。
 

trailer: