銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】シラノ

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映画日誌’22-12:シラノ
 

introduction:

1897年の初演以降、世界中で上演され、映画化、ミュージカル化されている不朽の名作「シラノ・ド・ベルジュラック」を、『プライドと偏見』『つぐない』のジョー・ライト監督が再構築。主演は『スリー・ビルボード』やテレビドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』などのピーター・ディンクレイジ、『Swallow/スワロウ』などのヘイリー・ベネット、『WAVES/ウェイブス』などのケルヴィン・ハリソン・Jrらが共演する。(2021年 イギリス/アメリカ/カナダ)
 

story:

17世紀フランス。フランス軍隊きっての騎士シラノ・ド・ベルジュラックは、剣の腕前だけでなく、優れた詩を書く才能を持ち、仲間たちからも絶大なる信頼を置かれている。しかし自らの外見に自信がない彼は、想いを寄せるロクサーヌに気持ちを告げることができずにいた。そんなある日、シラノと同じ隊に配属された青年クリスチャンに惹かれたロクサーヌは、こともあろうに恋の仲立ちをシラノに依頼する。愛する人の願いを叶えたいシラノは、文才のないクリスチャンに代わってロクサーヌへのラブレターを書き続けるが...
 

review:

シラノ・ド・ベルジュラック」は世界中で最も愛されている舞台劇の一つである。19世紀末、ベルエポック時代のフランスで大成功を収めた純愛物語は、ブロードウェイで繰り返し上演され、ハリウッドで映画化もされている。日本国内でも劇団四季や宝塚が公演をおこない、幕末から明治にかけての日本を舞台にした「白野弁十郎」なる舞台もあったそうだ。演劇史に残る傑作を、新しい設定で再構築したのが本作である。
 
劇作家エドモン・ロスタンがこの舞台を生み出すまでのドタバタが描かれた『シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!(2018年)』を観ていた私は、わざわざ顛末を知ってる物語を観なくてもいいかという気持ちだったのだが、たまたま他に観たい作品がないという消極的な動機で鑑賞。しかも観たのは、3月の頭である。放置しすぎである。忙しくて一週間に一本書くのが限界だったりすると、映画を観るペースと書くペースがどんどん乖離していくので、印象に残ってない映画のことはどんどん忘れていく。
 
というわけで、脳を振り絞って思い出を書くと、クリスチャンは確かに色男だが、17世紀のフランスで貴族階級の白人が有色人種と恋するのは歴史的に見て現実的ではないのではないか、などと考え始めてしまって物語に没入できず。ホワイトウォッシュは批判されるべきだが、その逆はどうなの歴史を捻じ曲げてまで表現したらもはやファンタジーじゃないのいやまあそもそも創作だからな・・・。多様性に配慮した配役だと思うが、それは本当に必要だったんだろうか。
 
ロクサーヌ役のヘイリー・ベネットはジョー・ライト監督の奥さんらしいけど、独特のムードがあり、ロクサーヌの何にも考えてない空っぽで浅はかな感じが醸し出されていてなかなかよかった。って悪口やん。キーラ・ナイトレイだと無駄に感情移入しちゃうからちょうど良い。ジョー・ライト監督作品にしては小さくまとまってしまった印象で少々期待外れだったが、ただもうピーター・ディンクレイジはカッコいいよね、素晴らしい俳優である。彼をタイトルロールに抜擢したところは評価したい。
 

trailer: