銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】プーと大人になった僕

劇場で観た映画を適当に紹介するシリーズ’18-62
 

うんちく

A.A.ミルンが息子のクリストファー・ロビンのために書いた短編集「クマのプーさん」が1926年に出版され、娘が夢中になっているこの物語の映画化を考えたウォルト・ディズニーが1966年に短編映画『プーさんとはちみつ』を発表。その後、世界中で人気を集め続ける「くまのプーさん」を初めて実写化したドラマ。大人になったクリストファー・ロビンと、100エーカーの森を飛び出したプーさんと仲間たちがロンドンを舞台に繰り広げる騒動を描く。監督は『ネバーランド』『007/慰めの報酬』などのマーク・フォースター。『トレイン・スポッティング』『ムーラン・ルージュ』などのユアン・マクレガーが主演を務めた。
 

あらすじ

“100エーカーの森”に住む親友のくまのプーや仲間たちと別れてから長い年月が経ち、大人になったクリストファー・ロビンは、妻子とともにロンドンで暮らし、仕事に追われ多忙な日々を暮らしていた。事業部存続の危機にさらされ、家族と故郷で過ごすはずだった週末も仕事をする羽目になってしまう。そんなとき、彼の前にかつての親友プーが現れ、いなくなってしまった森の仲間たちを一緒に探して頼まれ、子供の頃プーたちと過ごした“100エーカーの森”へ。何一つ変わらないプーやピグレット、ティガー、イーヨー、カンガとルーの親子との再会を喜ぶが...
 

かんそう

プーかわいいよプー。もともと観る予定は無かったが、下半身を剥き出しにした黄色い熊がユアン・マクレガーに退職を迫る映画だと聞いて、何となく出来た時間と無料観賞クーポンを使って観てきた。で、ものすごく正直な感想を言うと、日々都会の片隅で仕事に追われる責任世代なりに心が汚れているので、「このちっこいブタめっちゃかわいいな(註:ピグレット)」と終始思っていた以外、ほとんど心が動かなかったんですわ・・・(震え声)と言っても、退屈した訳ではないし、それなりに楽しかったんだけど、しかし如何せん説得力がない。まあ、大人に観て欲しいと言っているのは世間なので、もともと子供向けに書かれたものだとして、それにしても子供だましな脚本だなと思ったりする。クリストファー父さんは家族のため社員のため頑張っておられるのに、奥さん一刀両断で理解なさすぎぃー!社員の生活や人生がかかってる重大な局面で責任放り出せる男はあかんやろ奥さん!てか、重役の判断もそれでいいんかい!って全力でツッコミ入れたくなるし、そのタイミングで「僕は”何もしない”を毎日やってるよ」ととぼけた顔で言われてもだな。要するに、登場人物に対する共感に欠けた。多くの大人が感動しているらしいのに、私の心の汚れ具合を測るバロメーターなのかこれは。”100エーカーの森”で暮らすにはどうしたらいいか、って真剣に考えるくらいには病んでるし、私だって”何もしない”を毎日やりながら小さな幸せたちと一緒に暮らしたいわい。逆に、純真な子供心に溢れすぎていて、大人向けの物語が心に響かないのかもな、きっとそうだ、そうにちがいない、そういうことにしとこう・・・。なお、クリストファー・ロビンを描いたもう一つの作品、彼の人生を忠実に描いたと言われている『グッバイ・クリストファー・ロビン』(日本劇場未公開)は、なかなかに悲劇的らしい。気になる。