銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】ローマ法王になる日まで

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劇場で観た映画を適当に紹介するシリーズ’17-30
ローマ法王になる日まで』(2015年 イタリア)
 

うんちく

第266代ローマ法王フランシスコ、史上初めて中南米出身のカトリック教会長となったホルヘ・マリオ・ベルゴリオの激動の半生を、事実に基づき映画化。ビデラ軍事独裁政権下のブエノスアイレスで、苦悩しながらも貧しさや困難にあえぐ人々に寄り添い、信念を貫く姿を描く。『我らの生活』のイタリアの名匠ダニエーレ・ルケッティが監督を務め、「タンゴの幻影」で知られるスペイン出身のアルトゥーロ・カルデラスの音楽が作品を彩る。主演のベルゴリオを演じたのは『モーターサイクル・ダイアリーズ』のロドリゴ・デ・ラ・セルナ。 
 

あらすじ

2013年、コンクラーベ(法王選挙)のためにバチカンを訪れたベルゴリオ枢機卿。運命の瞬間を目前に、自らの半生を振り返り始める。1960年、ブエノスアイレスの大学で化学を学んでいたべルゴリオは、20歳にして家族や友人、恋人と別れ、神に仕えることを決意。イエズス会に入会すると35歳の若さで管区長に任命される。ときはビデラ大統領による軍事独裁政権下にあり、多くの市民が反勢力の嫌疑で捕らえられ、ベルゴリオの仲間や友人も次々と命を奪われていく苦難の時代であった…。
 

かんそう

サッカー(「サンロレンソ」の大ファン)とアルゼンチンタンゴをこよなく愛し、ローリング・ストーン誌の表紙を飾った”ロックスター法王”こと、南米出身者として初めてローマ法王に選出されたホルヘ・マリオ・ベルゴリオの人生を描いた作品だ。軍事による独裁政権下にあった1970年代アルゼンチンの様子も含めて、映画というより史実として非常に興味深く観た。おそらく意図して、過剰にドラマチックに描くことを避けているのだろう。劇中ショッキングな出来事も描写されているが、何しろ演出があっさりと淡白で抑揚に欠けるのだ。睡魔が静かに歩み寄ってくる。うう。お願いもうちょっと盛り上がって。映画として面白かったかと言われたら否、しかしながら、ホルヘという青年が光に導かれて苦難の道を歩み、辿り着くべき場所に辿り着くさまは感動。宗教色の強い映画ではないのでご安心を。