銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】ボヘミアン・ラプソディ

劇場で観た映画を適当に紹介するシリーズ’18-74
 

うんちく

世界的人気を誇る伝説のバンド「クイーン」のリード・ヴォーカルにして、1991年に45歳の若さでこの世を去ったフレディ・マーキュリーの半生を描いた伝記ドラマ。クイーンの現メンバーであるブライアン・メイロジャー・テイラーが音楽総指揮を手がけ、28の名曲が作品を彩る。「ボヘミアン・ラプソディ」「ウィ・ウィル・ロック・ユー」などの名曲が生まれる瞬間や、崩壊寸前だったバンドが挑んだ20世紀最大の音楽イベント<ライヴ・エイド>での圧巻のパフォーマンスが再現され、永遠に語り継がれる”21分”に込められたフレディとメンバーの想いと、秘められた真実が描かれる。『X-MEN』シリーズなどのブライアン・シンガーが監督を務め、『ナイト ミュージアム』などのラミ・マレックがフレディを熱演した。
 

あらすじ

1970年のロンドン。インド系移民という複雑な生い立ちや、容姿へのコンプレックスを抱える孤独な若者フレディは、ボーカルが脱退したばかりのブライアン・メイロジャー・テイラーに自分を売り込む。そこにジョン・ディーコンも加わり「クイーン」が結成されると、個性的なメンバーの革新的な挑戦によって、誰もが知る名作が次々に生み出されていく。やがて「キラー・クイーン」のヒットや、ロック音楽にオペラを導入し既成概念を覆した「ボヘミアン・ラプソディ」などで、一躍世界的な大スターとなったクイーン。その華々しい栄光の裏側で、スキャンダル報道やメンバーとの衝突に苦しむフレディは、孤独を深めていた。バンド内の不和が広がり解散目前と囁かれるなか、彼らは20世紀最大のチャリティコンサート<ライヴ・エイド>への出演を決断する。
 

かんそう

私の永遠のアイドルはマイケル、フレディ、ボブの3人。ボブはどのボブか想像に任せるが、生きている間に会いたかった人たちだ。遡ることン十年前。ウェンブリースタジアムでのコンサート映像を友達に見せられて、なに、この、れろれろ言ってるヒゲのタンクトップおじさん、かっこいい…!! と釘付けになってしまった春の日。そんな私はこの映画の公開を心待ちにし、公開当日劇場に駆け込んだ。フレディが似てなかったらどうしよう、などとは、いささかも思わなかった。クイーンの音楽を劇場で楽しめるだけで動機としては充分だったのである。さて、まずはオープニング。20世紀フォックスのファンファーレがギターバージョンという粋な演出にむせび泣く。そして映し出されるバックステージは、ショーが始まる高揚感に充ちて、否が応でも胸が高鳴る。ああ、フレディ・・・!と、そこに、出っ歯なとこ以外あんまり似てなくて、若干小振りな小フレディが登場。いやいや待て待て、フレディはもっとハンサムやでしかし出っ歯だけどー!と思ったりしたが、いつの間にかフレディに見えてくる不思議。なんの魔法。つか、素顔のラミたん、ブルーノ・マーズにそっくりやんか。それはさておき、その魔法が何かって、クイーンの音楽が持つ圧倒的な力に他ならないだろう。ダイナミックなカメラワークで再現される”ライヴ・エイド伝説の21分”にむせび泣く。劇場にいた全員の心を鷲掴みにし、騒がしかった外国人グループも静かに聴き入り、単独あるいは二人三人組のサラリーマンが全員、男泣きに泣いていた。エンドロールが終わるまで誰も席を立たなかった。妙な連帯感が生まれ、隣で泣いてたサラリーマンに声を掛けて一緒にビール飲みながら語り合いたい気持ちになるくらいには劇場内が一体化していた。それはまこと素晴らしい夜であった。ありがとうクイーン。そしてフレディに会いたい。