銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】AIR/エア

映画日誌’23-19:AIR/エア
 

introduction:

監督・主演を務めた『アルゴ』でアカデミー賞作品賞を受賞したベン・アフレックが盟友マット・デイモンを主演に迎え、ナイキのバスケットシューズエア・ジョーダン」の誕生秘話を描いたドラマ。ベンとマットは製作も担当。『ザ・ギフト』などのジェイソン・ベイトマン、『ラッシュアワー』シリーズのクリス・タッカー、『フェンス』などのヴィオラ・デイヴィスらが出演。(2022年 アメリカ)
 

story:

1984年。人気がなく業績不振に陥っていたナイキのバスケットボール部門を立て直すよう、CEOのフィル・ナイトから命じられていたソニー・ヴァッカロ。しかし当時バスケットシューズの市場はコンバースアディダスに占められており、ソニーは苦戦を強いられていた。そんな彼が目をつけたのは、NBAデビューもしていない無名の新人選手マイケル・ジョーダンソニーと上司のロブは社内の反対を押し切り、驚くべき情熱と秘策で社運を掛けた取引に挑む。
 

review:

マット・デイモンベン・アフレックマサチューセッツ州ケンブリッジで共に育った幼馴染み。ハーバード大在学中にマットが課題で書いた戯曲をもとに『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』の脚本を共同執筆し、アカデミー賞脚本賞を受賞。そして二人は俳優、監督、脚本家、映画プロデューサーとして、映画史に名を残す作品を生み出し続けている。作品に彼らの名前があればとりあえず観る。そのくらい映画人として信頼している。脚本を共同執筆した『最後の決闘裁判』も傑作だったねぇ。余談だが、ジョニー・デップの名は地雷だと思っているので踏まない・・・。
 
そんな二人がタッグを組めば当然観るのだが、ナイキ ”エア・ジョーダン” の誕生秘話とあっては余計に見逃せない。言わずもがな、NBA選手マイケル・ジョーダンとコラボレーションした世界一有名なシューズのことだ。「エア」はジョーダンのニックネームであり、ナイキが有するソール用のエアクッション技術のことでもある。1984年11月17日の発売開始以降、ファッションやアートなど現代のカルチャーに大きな影響を及ぼし、日本でも社会現象を巻き起こした。40年近く開発・販売されており、熱心なコレクターも多い。
 
そしてマイケル・ジョーダンと言えば「史上最高のバスケットボール選手」「バスケットボールの神様」と讃えられ、1980〜90年代にNBAの世界的ブームを牽引した最も重要な人物であり、バスケットボールの枠を超え、スポーツカルチャーのアイコンとなった人物だ。世界で最も有名なスポーツ選手の一人だろう。1984年、経営難だったナイキのバスケットボール部門の担当者が、NBAドラフトでシカゴ・ブルズに全体3位で指名された新人選手マイケル・ジョーダンに社運を賭けた取引を持ちかける、というのが本作の筋だ。
 
なぜナイキの担当者サニーはジョーダンに賭けたのか。しかもジョーダンは大のアディダスファンであり、当時はダサい扱いのナイキは断固拒否という態度だったにも関わらず、口説き落とせたのか。優れた脚本と演出で描かれる、王道のサクセスストーリーだ。結末は世界中の誰もが知るところだが、不可能を可能にしたナイキのプロフェッショナルチームの挑戦、「デブの白人中年オヤジ」マット・デイモンがすべてを賭けて突き進むドラマに胸が熱くなる。そして当時の音楽やファッション、車やガジェット、インテリアなど1980年代の質感がたまらない。人の心を動かし、世界を変える秘訣を教えてくれる、爽快なる傑作。バスケとかナイキとかジョーダンとか関係なく、必ず観ろだし!!
 

trailer: