銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ

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劇場で観た映画を適当に紹介するシリーズ’17-42
『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』(2016年 アメリカ)
 

うんちく

世界最大級のファーストフードチェーン、マクドナルド・コーポレーションの創業者レイ・クロックの伝記ドラマ。50代でマック&ディック兄弟が経営する「マクドナルド」と出会い、その革新的なシステムに勝機を見出し、世界有数の巨大企業を築き挙げた男の半生を描く。監督は、『しあわせの隠れ場所』『ウォルト・ディズニーの約束』のジョン・リー・ハンコック。『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』のマイケル・キートンがレイ・クロックを演じ、『わたしに会うまでの1600キロ』などのローラ・ダーン、『ロング・トレイル!』のニック・オファーマン、『テッド2』のジョン・キャロル・リンチなどが脇を固める。
 

あらすじ

1954年、アメリカ。52歳のレイ・クロックは、シェイクミキサーのセールスマンとして中西部を回っていたが、ある日、8台もミキサーをオーダーしてきたマクドナルドというドライブインレストランに興味を持つ。経営者のディック&マック兄弟がによる、合理的な流れ作業の“スピード・サービス・システム”や、コスト削減・高品質という革新的なコンセプトに勝機を見出したレイは、壮大なフランチャイズビジネスを思いつく。兄弟を説得して契約を交わし、次々にフランチャイズ化を成功させていくが、ひたすら利益を求めるレイとマクドナルド兄弟の関係は次第に険悪となっていき….
 

かんそう

なんとも言えず、後味が悪い。誰が「マクドナルド」の創業者なのか。独自開発した画期的なシステムでドライブインレストランを繁盛させていたマクドナルド兄弟ではないのか。それとも、カリフォルニアの片隅で繁盛していただけにすぎないドライブインを、地球規模の巨大ファストフード・チェーンに展開させたレイ・クロックなのか。たしかに彼は自身でリスクを負い、それこそ「根気よく」真面目に、成功するための努力をした。その情熱は賞賛に値するものであるし、彼がいなければ「世界のマクドナルド」は存在しない。だが、釈然としない。そして結果としてレイ・クロックは、マクドナルドは「不動産投資ビジネス」であると言い放つ。手段を選ばず資本主義経済や競争社会の中でのし上がっていく姿はアメリカン・ドリームの象徴と言えるが、自ら「創業者(ファウンダー)」と名乗るレイ・クロックという男に踏みにじられた人々のことを思うと、戦慄を覚えるとともに気持ちが萎える。とは言え、レイ・クロックの本質に迫っており非常に興味深く面白い。この優れた伝記映画を通して起業家たちが学ぶことは多いだろう。