銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】スウィート17モンスター

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劇場で観た映画を適当に紹介するシリーズ’17-24
『スウィート17モンスター』(2016年 アメリカ)

うんちく

トゥルー・グリット』などのヘイリー・スタインフェルドが、劣等感をこじらせた等身大の17歳を演じ、ゴールデングローブ賞主演女優賞にノミネートされた青春ドラマ。ウェス・アンダーソンキャメロン・クロウの才能を発掘した名プロデューサー・ジェームズ・L・ブルックスに抜擢されたケリー・フレモン・クレイグが自身の脚本を初監督。NY映画批評家協会賞第一回作品賞を受賞したほか、賞レース4受賞18部門ノミネートの快挙を達成し注目を集めた。個性派俳優ウディ・ハレルソン、『クローザー』のキーラ・セジウィック、『glee/グリー』シリーズのブレイク・ジェナーが共演。

あらすじ

恋に恋して膨らんだ妄想が空回り、イケてない毎日を送る17歳のネイディーン。何かと騒動を起こしては、ネイディーンにとっても一番の理解者だった父が他界して以来ずっと情緒不安定な母親や、教師ブルーナーを困らせてばかりいる。たったひとりの親友クリスタだけが自分のすべてだったのだが、自分とは正反対でコンプレックスの元凶となっている、イケメンでエリートの兄ダリアンと彼女が恋仲になってしまい…。

かんそう

コーエン兄弟が見出した才能、ヘイリー・スタインフェルドが、自己中心的で捻じ曲がった自意識と世間とのギャップに劣等感を抱き、迷走して自爆する憎めない17歳を見事に体現している。そんなネイディーンが何故か心を開き、悩みを打ち明ける変わり者の教師ブルーナーを演じたウディ・ハレルソンの存在感が素晴らしい。繊細なお年頃のこじらせ女子高生に、絶妙な皮肉を投げかける教師との会話の応酬が実に面白い。脚本が秀逸。ほろ苦さもありがならコミカルでテンポのよい展開が楽しく、音楽の使い方も心地好い。青春真っ只中にあるネイディーンの不器用な恋模様が思春期あるある過ぎて、懐かしく気恥ずかしく、愛おしい。彼女を取り囲む「大人になれない大人たち」の姿もまた、愛おしい。きっとまた、落ち込んだ時にこの映画を観ると思う。