銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ

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劇場で観た映画を適当に紹介するシリーズ’18-17
『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』(2017年 アメリカ)

うんちく

第70回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した、ソフィア・コッポラ監督によるスリラー。1971年にもクリント・イーストウッド主演で『白い肌の異常な夜』としてドン・シーゲル監督が映画化したトーマス・カリナンの小説「The Beguiled」をベースに、1人の男にかき乱される女性たちの嫉妬と欲望を赤裸々に描く。ハリウッドを代表するトップ女優ニコール・キッドマン、『マイノリティ・リポート』『ロブスター』のコリン・ファレル、『ヴァージン・スーサイズ』『マリー・アントワネット』のキルスティン・ダンスト、『SOMEWHERE』『パーティで女の子に話しかけるには』のエル・ファニングら、豪華キャストが集結。

あらすじ

1864年、アメリカ南部バージニア州。3年目に突入した南北戦争が暗い影を落とすなか、世間から隔絶された女子寄宿学園に暮らす美しき7人の女性たちがいた。園長のマーサ、教師のエドウィナ、5人の生徒たち。ある日彼女たちは、森の中で負傷した北軍兵士マクバニーを見つけ、手当をし匿うことに。男子禁制の学園に、突如として加わった野性味あふれる男性の存在に戸惑いながらも、ハンサムなマクバニーの紳士的な振るまいに誰もが浮き足立ち、心をときめかせるようになってしまう。彼の虜となった女たちは、次第に嫉妬を露わにして互いを牽制しあうようになり...

かんそう

カロン色の『マリー・アントワネット』で知られる、フランシス・フォード・コッポラの娘たん。『ロスト・イン・トランスレーション』ではアカデミー賞も撮ってるぞ。ちなみに女優としては『ゴッドファーザーPART Ⅲ』でラジー賞の最低助演女優賞と最低新人賞に輝き、『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』では最低助演女優賞にノミネートされる実力の持ち主だ。さて、そんなソフィア嬢の新作は、柔らかな自然光とフリルやレースやリボンを身に纏った淑女たちが、ちょっとワイルドでセクシーな2枚目に惑わされて本能を剥き出しにしちゃうレディコミ風ドラマ。でもその王子役、コリン・ファースじゃなくてもよくない?もっといいのいただろ。1971年にドン・シーゲル監督が撮ったクリント・イーストウッド版『白い肌の異常な夜』に比べると、相当に毒気が抜かれて薄味らしい。確かにこの設定なら、もっとえげつないほどドロドロと生々しい愛憎劇が描けるはずである。つまらないことはないが、どこか物足りない。そう思ったのはコリン・ファレルのせいだけではなさそうだ。あまりにも端正で、表現に奥行きがなく、説得力が足りないのだ。ただ、おそらくソフィア・コッポラはリメイクではなく「ソフィア・コッポラ版"The Beguiled"」を作りたかったのだと思われ、そういう意味ではきっちり目的を完遂している。が、とりあえず近いうちに、より原作に近いと思われる『白い肌の異常な夜』を観てみようと思ったりしたのであった・・・。