銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】RAW~少女のめざめ~

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劇場で観た映画を適当に紹介するシリーズ’18-09
『RAW~少女のめざめ~』(2016年 フランス,ベルギー)
 

うんちく

2016年のカンヌ国際映画祭批評家週間でワールドプレミア上映され、その後各国の映画祭で話題となったカニバル映画。人が人を喰らう人類史上最大のタブー「カニバリズム」をテーマに、ベジタリアンの少女が偶然肉を食べたことで隠された自分の本性に目覚めるさまを描く。メガホンを取ったのはフランスの新鋭ジュリア・デュクルノー。これが長編監督デビュー作となる。デュクルノー監督の短編映画にも出演したギャランス・マリリエが主演を務める。
 

あらすじ

厳格なべジタリアンの家庭に育った16歳のジュスティーヌ。両親や姉と同じ獣医科大学に入学するが、初日から上級生による新入生歓迎のハードコアな儀式としごきが始まる。地獄のような日々が続いていたある日、新入生の通過儀礼として全身に血を浴びせかけられ、さらにうさぎの生の腎臓を強制的に食べさせられたジュスティーヌは、体に異変を感じるようになる。その日を境に、自分の変化に戸惑うジャスティーヌだったが、次第に自分の内に秘めた恐ろしい本性と秘密が露わになり...
 

かんそう

ううむ。何故観に行ったと聞かれると返答に困るが、話題になるからには何かしらの魅力があるのだろうと。この目で確かめに行っただけである。もっと官能的で叙情詩的な作品なのかと思いきや、主演の女の子が子供っぽくて中学生みたい。なので、肉食への目覚めと性の目覚めを掛け合わされても、絵面にエロスを感じないのでイマイチ説得力に欠ける。なかなかグロテスクな作品だが、そのカニバリズムに美学や哲学が存在しないので、ただグロテスクなだけである。エキセントリックと言えば、エキセントリックな映像であるが、それも若干食傷気味である。と、そう思わせるほど、すべてを無に帰すまさかのオチが、陳腐でお粗末なのだ・・・。いいところもあったけど、もう思い出せない。楽しい思い出がいっぱいあったはずなのに、最後の最後で裏切られてひどい別れ方をした男のようだ。