銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】女神の見えざる手

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劇場で観た映画を適当に紹介するシリーズ’17-62
女神の見えざる手』(2016年 フランス,アメリカ)

うんちく

戦略を駆使して政治家の心や世論を動かし、マスコミを操作し、世界を変える決断に深く関与するプロフェッショナル集団「ロビイスト」を描いた社会派サスペンス。監督は『恋におちたシェイクスピア』のジョン・マッデン。『ゼロ・ダーク・サーティ』のジェシカ・チャステインが主演を務め、ゴールデン・グローブ賞主演女優賞にノミネートされた。『キングスマン』のマーク・ストロング、『インターステラ―』のジョン・リスゴーらが共演。なお本作の脚本は、イギリスの弁護士だったジョナサン・ペレラの処女作。初めて描いた脚本が映画化されるという、ハリウッドでは前代未聞のサクセス・ストーリーが背景にある。

あらすじ

ワシントンD.C.にある最大手ロビー会社コール=クラヴィッツ&Wの敏腕ロビイストとして活躍しているエリザベス・スローン。勝つためには手段を選ばず、一切の妥協を許さない仕事ぶりはクライアントから高く評価され、政府やメディアからも一目置かれる存在である。ある日彼女は、銃規制法案を廃案に持ち込みたい銃擁護派団体から依頼を受けるが、自分の主義に合わないと一蹴し、銃規制法案の成立に尽力する小さなロビー会社に移籍。大胆な戦略によって形勢を有利に変えていくが、巨大な権力をもつ銃擁護派団体や、いまや敵となった前職の圧力により、彼女の過去のスキャンダルが暴かれてしまう。さらに思いも寄らぬ事件が起こり、事態は予測できない方向へと転がり始め…..

かんそう

面白い。唸るほど面白い。幾重にも仕掛けられた罠が、緻密な脚本と構成によって描かれ、スリリングな展開に一瞬たりとも気が抜けない。最高潮に達した緊張感で迎える怒涛のクライマックスは、全身の毛穴が開くほどの爽快感。張り巡らされた伏線もきっちり回収してくれて、その演出も見事である。頭脳明晰、目的のためなら手段を選ばず、使えるものは何でも使う。サイコパス気質を匂わせながら、たまに人間臭い一面を覗かせるスローン女史のパーソナリティと、その成り立ちにも興味をそそられるのだが、多くは語られない。何が彼女を駆り立てるのか、彼女自身の真実がどこにあるのか、最後までハッキリと明かされない。ミステリーのようだ。プライベートな時間は皆無で、家庭も持たず、薬を多用しながら睡眠時間すらコントロールして1日に16時間仕事しているスローン女史。プロフェッショナルに徹することの凄みを見せつけられるとともに、そうかやっぱり、世の中を動かすにはそのくらい仕事しないとダメなのかと真面目に受け止めてしまうワーカーホリック予備群であった。年収100万ドル(予測)のスローン女史を際立たせるファッションやメイクも魅力的。