銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】未来よこんにちは

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劇場で観た映画を適当に紹介するシリーズ’17-19
『未来よ こんにちは』(2016年 フランス・ドイツ)

うんちく

第66回ベルリン国際映画祭コンペティション部門に出品され、銀熊(監督)賞に輝いた人間ドラマ。50代後半の女性が、思いがけず様々な問題に直面し、自分の人生を見つめ直す姿を映す。監督は『あの夏の子供たち』『EDEN/エデン』などで高く評価されているミア・ハンセン=ラブ。主演は『ピアニスト』『愛、アムール』などフランスを代表する大女優イザベル・ユペールで、脚本は彼女を想定して書かれた。『偉大なるマルグリット』などのアンドレ・マルコン、『EDEN/エデン』のロマン・コリンカ、『夏時間の庭』のエディット・スコブらが共演。

あらすじ

パリの高校で哲学を教えているナタリーは、同じ哲学教師の夫ハインツと既に独立した二人の子供を持ち、パリ市内に一人で暮らす高齢の母を世話しながら、哲学書の執筆にも追われ、忙しいながらも充実した日々を暮らしていた。そんな折、結婚25年目にして夫から「好きな人ができた」と告げらる。唖然としながら夫と別れ、しばらくすると母親が亡くなり、売上主義に舵を切った出版社からも契約を切られてしまう。バカンスシーズンを前にひとりぼっちになってしまったナタリーは、可愛がっていた教え子のファビアンを訪ねてフレンチ・アルプス近くのヴェルゴール山へ向かうが...

かんそう

原題は『L’AVENIR』=『未来』なんだから、そのまんまでよくない?『未来よ こんにちは』って、なんで「こんにちは」付けちゃうですか…「悲しみよ こんにちは」のつもりですか...配給会社の邦題がダサすぎる問題を叫び続ける会代表として、今回も物申す。さて閑話休題。男女の激しい情愛を描いた純然たるフランス恋愛映画を見たあと、立て続けに本作を観てしまうという痛恨のミステイクを犯したっていうのもあるけど、全体に抑揚が乏しい印象。心象風景の描写が少ない上にあっさりしているので、感情移入しづらい。抑圧的で繊細な描写と言えば聞こえがいいが、演出にメリハリがないので、ちょっと退屈。元来そういう作風は好物だけど、本作は胸に響かなかったなぁ。イザベル・ユペールという大女優の圧倒的な存在感がこの映画の軸になっているが、イザベルたん、もっと輝いてほしかった…。