銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】パーティーで女の子に話しかけるには

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劇場で観た映画を適当に紹介するシリーズ’17-74
『パーティーで女の子に話しかけるには』(2017年 アメリカ)
 

うんちく

今なおカリスマ的人気を誇る名作『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』のジョン・キャメロン・ミッチェル監督が、ニール・ゲイマンの自伝的短編小説を映画化。1977年のロンドン郊外を舞台に、遠い惑星からやってきた美少女と内気なパンク少年の交流を描いた青春ラブストーリー。史上最年少でトニー賞主演男優賞を受賞したアレックス・シャープと『20センチュリー・ウーマン』『ネオン・デーモン』のエル・ファニングが主演を務め、オスカー女優ニコール・キッドマンらが共演。
 

あらすじ

1977年のロンドン郊外。内気なパンク少年エンは、偶然もぐりこんだパーティーで、不思議な美少女ザンと出会う。大好きな音楽やパンクファッションの話を興味深く聴いてくれるザンと、たちまち恋に落ちてしまったエン。だが、遠い惑星に帰らなければいけない彼女と過ごせる時間は、48時間だけだった。大人たちが決めたルールに反発したふたりは、大胆な逃避行に出るが…。
 

かんそう

とにかく呆気に取られた。それほど素晴らしかった。ジョン・キャメロン・ミッチェルの類稀れなる才能を強烈に見せつけられた。『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』『ラビット・ホール』然り、絶対に彼にしか紡げない物語がある。「信じられないほどバカげていると同時に、なんて美しい話なんだと思った」とアレックス・シャープが言っている通り、ヘンテコで荒唐無稽で、甘美なる夢幻の世界。きっとこれまで誰も見たことがない、ボーイ・ミーツ・ガールの物語だ。こうして振り返りながら予告を見直しただけで、泣きそうになる。70年代の、ファッションではなくムーブメントとしてのパンクシーンを表現する衣装、作品を彩る音楽も最高だ。そしてエル・ファニングが死ぬほどかわいいのである。彼女の存在がなければ、この世界は成立しなかっただろう。思春期の揺らぎを見事に体現したアレックス・シャープも素晴らしい。忘れがたい傑作。