銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】イーディ、83歳 はじめての山登り

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映画日誌’20-07:イーディ、83歳 はじめての山登り

introduction:

長年の夢を叶えるべく、山登りに初挑戦する83歳の女性の姿を描いた人間ドラマ。撮影当時、役と同じ83歳だった『縞模様のパジャマの少年』などのシーラ・ハンコックが、実際に山に登り、過酷な撮影に挑んだ。共演には『ウイスキーと2人の花嫁』などのケヴィン・ガスリー、『天使の分け前』などのポール・ブラニガンら。『ミュータント・クロニクルズ』などのサイモン・ハンターが監督を務めた。(2017年 イギリス)
 

story:

30年もの長い間、夫の介護に人生を捧げてきた83歳のイーディは、娘から施設に入ることを勧められ、人生の終わりを感じていた。そんなある日、街のフィッシュアンドチップス屋の店員が発したふとした言葉をきっかけに、かつての夢だったスコットランドのスイルベン山に登ることを決意。ロンドンから夜行列車でスコットランドに向かったイーディは、偶然知り合った地元の登山用品店の青年ジョニーをトレーナーとして雇い、山頂へ登る訓練を始めるが...
 

review:

”Never too late.” ロンドンの片隅にあるフィッシュアンドチップス屋が、追加注文しようとした老婦人にかけた言葉である。遅すぎることはないよ。月並みと言えば月並みすぎる台詞だし、それをきっかけに一大決心するとか、映画の設定としてはあまりにも陳腐…!! でも、刺さったのである。実年齢的には人生の折り返し地点にさしかかった私の心にも。年齢にとらわれたり縛られたりしない生き方をしよう思っているけど、歳を重ねるごとに生きるのが楽になってきたのは事実だ。人生で一番楽しかったのはいつか?という質問には、いつだって「いま」と答える。今が最高に楽しいし、今の自分が一番好きだ。認めてないけど、やや若見えするらしい私も、確実に歳を重ねているのである。ロンドンのフィッシュアンドチップス屋が何気なく発した言葉が刺さるほどに。まあ、この場面と、スイルベン山の雄大で美しい自然と、イーディーが頑張ってる姿以外は、特筆すべきことがない作品とも言える。ただ、いつかの夢を叶えようと奮闘するイーディーの姿に自分を重ねて、自分の生き方を振り返るには程良い。私は、人生の終わりに何をするのだろう。今は忙殺されて、思いを巡らす時間もないけれど。いつか夢に見た、星野道夫が珠玉の言葉で綴ったアラスカを旅したい。そして、あまりにも早く歩き過ぎてしまって、どこかに置き去りにして来てしまった心が、その場所に追いつくまで待っていたい。きっとイーディも、置き去りにして来てしまった心が、やっと追いついたのだろう。ところで「イーディ、83歳 はじめての山登り」「公式」ってググっても、公式サイトが出てこないよ・・・!SEO対策とは。
 

trailer: