銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】ボブという名の猫 幸せのハイタッチ

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劇場で観た映画を適当に紹介するシリーズ’17-50
『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』(2016年 イギリス)
 

うんちく

12年3月にイギリスで出版され、ザ・サンデー・タイムズ紙のベストセラー・リストに76週間連続でランクインする記録を樹立したノンフィクション「ボブという名のストリート・キャット」を実写映画化。どん底生活を送っていたホームレスのストリートミュージシャンが、野良猫「ボブ」との出会いをきっかけに人生を立て直す姿を描く。監督は『シックス・デイ』『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』『ターナー&フーチ/すてきな相棒』のロジャー・スポティスウッド。主演は『タイタンの戦い』『ウェイストランド』などのルーク・トレッダウェイ。本物の「ボブ」がほとんどのシーンでボブ自身を演じており、著者のジェームズ・ボーエン自身もカメオ出演を果たしている。ボブは推定11歳。「ツイン・ピークス」のキラー・ボブから名づけられた。
 

あらすじ

イギリス、ロンドン。プロミュージシャンを目指していたはずが、ギターを片手にストリートミュージシャンとして日銭を稼ぐジェームス。薬物依存に陥り、家族からも見放されてホームレスとなっていた。そしてある日、ドラッグ更生プログラムの最中にもかかわらず、ヘロインに手を出してしまい病院に搬送されてしまう。退院後、彼の身を案じた更生担当者ヴァルが用意してくれた部屋に入居すると、どこからか茶トラの野良猫が迷い込んできて…..
 

かんそう

ボブかわいい。否応無しにかわいい。ボブのかわいさを堪能するための映画とも言える。もうそれだけでいいじゃんって思うので、配給会社がつけた死ぬほどダサいサブタイトルにも目をつぶろう。実際、映像越しにもボブのかわいさにやられちゃうくらいなので、実際のところ本当に街中の人々が心を奪われたのであろう。彼らの物語は日本のテレビ番組でも紹介され、私も観た覚えがあった。脚色もあろうが、猫の恩返しとも言える、すてきな物語である。ストリートパフォーマンスの人だかりも、ビッグイシューの売り上げも、世界中で500万部を越える大ベストセラーとなった著書も、何ひとつジェームスの能力によるものではない。実際、映画のなかでも絶妙に歌が下手だったりして、そのリアリティは何だとツッコミたくなるが、ただ彼は、自分が食い詰めてる状況にあっても、猫に優しかった。彼を救ったのは結局、その人柄なのだ。華やかなロンドンの町並み、その底辺で暮らす人々の窮状や薬物依存者のリアルも写し取られていて考えさせられる。