銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】クワイエット・プレイス

劇場で観た映画を適当に紹介するシリーズ’18-66
クワイエット・プレイス』(2018年 アメリカ)

うんちく

『ボーダーライン』『ガール・オン・ザ・トレイン』などのエミリー・ブラントが主演したサスペンスホラー。監督はブランドの夫である『プロミスト・ランド』のジョン・クラシンスキーが務め、自らも出演している。製作は『トランスフォーマー』シリーズのマイケル・ベイ。『ワンダーストラック』などのミリセント・シモンズ、『ワンダー 君は太陽』『サバービコン 仮面を被った街』などのノア・ジュプが共演。低予算ながら全米公開後スマッシュヒットを記録し、累計興行収入は近年のホラー話題作を超える数字を叩き出した。

あらすじ

音に反応し人間を襲う“何か”によって人類が滅亡の危機にさらされた世界で、生き残った1組の家族がいた。リーとエブリンの夫婦は、聴覚障害を持つ娘ら3人の子どもたちと「決して音を立ててはいけない」というルールを守り、手話を使い、裸足で歩き、道には砂を敷き詰め、静寂とともに暮らしていた。しかし、エヴリンの胎内には新しい命が宿っており、出産の日が刻一刻と近付いていた...

かんそう

物語の鍵を握る聴覚障害を持った長女が、美人ママとどこも似ていないブサかわいい系なのだが、どこかで見たことがあると思ったら、うちの姉に似ている。うちの姉は成長とともにまあまあマシになり、大人になってからはたまに「お姉さんきれいね」と言われるほどにはなったが(私とはあまり似ていない)、赤ん坊から子供時代にかけては、見事な太眉のブサ子だった。その姉に似ているのである。嗚呼おねえちゃん・・・!と、ちょっと捻くれ者の長女に奇妙な親近感を覚えながら、隣の席のおっさんが無神経にポップコーンを食べる音を憂いながら、静かな世界で起こる恐怖を見守る。てゆっか、音を立てたらクリーチャーが飛んでやってきて喰い殺されるって知ってた?ねえ、知ってた?即死だよ?ポップコーン買うなや!アボット家いっそ滝壺の近くで暮らせや!この非常事態に妊娠したらあかんやん!と全世界に向かってツッコミたくなる衝動を抑えつつ、それじゃドラマにならないもんねと生暖かい目で見守る。そこ、音で怖がらせる必要なくない?と思うシーンもいくつかあり、ホラーとして怖いかと言われると全然怖くないが、エンターテイメント的に面白かった。このシチュエーションが生み出す緊迫感が作品全体を覆い、否応無しにその世界に引き込まれ、登場人物と呼吸を合わせてしまうほどの没入感を味わう。おそらく映画館で観ないと面白くない。ベタだけど家族の愛情ドラマも盛り込まれており、終盤で母ちゃんの肝っ玉が据わった瞬間はなかなか感動的であった。