銀幕の愉楽

劇場で観た映画のことを中心に、適当に無責任に書いています。

【映画】アナベル 死霊博物館

劇場で観た映画を適当に紹介するシリーズ’19-50
アナベル 死霊博物館』(2019年 アメリカ)
 

うんちく

大ヒットホラー『死霊館』シリーズに登場した呪いの人形アナベルを主題にしたスピンオフ第3弾。シリーズではおなじみのウォーレン夫妻をパトリック・ウィルソンとベラ・ファーミガが引き続き演じ、「gifted ギフテッド」」などで注目された子役マッケンナ・グレイスが娘を演じる。シリーズに携わってきたジェームズ・ワンが製作を務め、『アナベル』シリーズや『IT イット “それ”が見えたら、終わり。』の脚本家ゲイリー・ドーベルマンが監督・脚本を手がけた。
 

あらすじ

超常現象研究家ウォーレン夫妻の家に、強烈な呪いを持つ一体の人形が運び込まれた。アナベルという名のその人形は、夫妻の自宅地下にある”博物館”で、他の呪われた品とともに厳重に封印された。夫妻が仕事で家を空ける日、娘のジュディはベビーシッターのメアリーと、その友人ダニエラの3人で一晩を過ごすことになる。しかし、ダニエラが博物館に勝手に忍び込み、アナベルの封印を解いてしまう。そしてそれが、少女たちに襲いかかる悪夢のはじまりとなった...
 

かんそう

「これはアナベル版ナイトミュージアムさ!」とジェームズ・ワン君が言うとるんやけどな。なるほど、これはよく出来たお化け屋敷である。もはや様式美。じわじわと不穏なムードを漂わせて不安を煽ったり、来る!と身構えさせといてすかしたり、と思えば大きな音出して怖がらせてみたり、ホラーの作法にのっとってまんまと怖いのである。その演出の妙は、さすがとしか言いようがない。ホラー慣れしている私はこの上質なホラーがただただ楽しかった。(絶叫マシーンは大嫌いだが)恐怖を楽しむ絶叫マシーンと同じである。王道ホラーに必ず出てくる、開けちゃいけないドアを開けるお約束のアホ女が出てきて、ああん、もう!ってなるんだけど、彼女には彼女なりの理由があり、それがきちんとドラマになって物語に奥行きを出す。今回はウォーレン夫妻ではなく、娘のジュディが主役なのも新鮮だった。さて、知らない人のために、呪いの人形アナベルは実在しているし、心霊研究家のウォーレン夫妻も実在している。アナベルコネチカット州にあるウォーレン夫妻の博物館に厳重に保管されている。強い呪いを持ち極めて危険な存在のため、現在も毎週神父が祈祷を施しているが、実在のアナベル人形は腰抜かすほどかわいいラガディ・アン人形(ググってね)である。なので、大好きな死霊館シリーズに言いたいことがあるとしたら、作品に登場するアナベル人形をいかにも「私は強烈に呪いますよ」という風体にしているのは少々いただけない。チャッキーくらいオンオフがあってもいいと思うし、なんならラガディ・アン人形のまま恐怖のどん底に落として欲しい。ってゆーか、そのほうがギャップ萌えで余計恐いんじゃないだろうか。ところで、平日の昼間観に行ったにもかかわらず劇場はほぼ満席。高校生グループが多かったので、口コミで流行ってるのかもしれない。私の左側にも幼い顔した男子高校生5人組が仲良く並んでいたけど、わたしのすぐ隣に座っていた子は終始両手で顔を覆い、アナベルの恐怖に震えていた。大丈夫だ心配するな、そのうち君は生きてる人間のほうがよっぽど怖いってことを思い知ることになるだろう・・・。